仲 裕介

Microsoft西脇資哲氏が語る、AI、ドローン、ロボティクスの未来 – de:code 2016セッションレポート

連載: de:code 2016 特集 (4)

こんにちは。編集部の仲です。de:code 2016はいかがでしたか?

この記事では、初日の最後に行われた、Microsoftのエバンジェリストであり「エバンジェリスト養成講座」などで有名な、西脇資哲さんのセッションをご紹介します! AI、ドローン、ロボティクス、そしてテスラ Model Sまで会場に登場した、盛りだくさんのセッションでした。

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Twitterのライブ配信

Twitterのライブ配信 筆者が前回西脇さんのセッションを聴講した時も同じことをやっていたため、もはや恒例となっていると勝手に思ってますが、セッション中、Twitterにハッシュタグをつけてつぶやくと、前方スクリーンにその様子が表示されるという、イカした趣向が用意されていました。その日一番多くつぶやいた方には最後にプレゼントがあるとのこと。




ウェアラブルデバイス

Microsoft Band 2 最初のテーマはウェアラブルデバイスです。会場では、IoT☓医療現場での活用例として、Microsoft Band 2を利用したデモが披露されました。







このデモでは、Microsoft Band 2で西脇さんの皮膚の表面の汗の量や心拍数等を収集。BluetoothでRaspberry Pi(OSはWindows 10 IoT)に転送し、そこからSoracomのSIMでAzureにアップロードされます。アップロードされたセンサーデータは Motion Board Cloud というサードパーティのサービス(Azure上で稼働)を利用して、活動量という形で表示しているそうです。活動量は100を超えるとちょっと落ち着きないな、というぐらいの指標になるんだとか。

アーキテクチャ
活動量を表示


これが実際にどのようなシーンで活用されるのか、1つ例が紹介されました。

我々の国を含め、先進国は医療費の高騰が問題となっています。そのための対策として、患者さんに積極的に在宅医療をすすめるという試みが行われています。在宅医療をすすめるべきかどうかの判断について、今までは医者が個別に診察を行い、膨大な時間をかけて判断(トリアージュ)していました。

この活用例では、IoTデバイスからの生体情報や、過去の病歴、類似治療比較を基にマシンラーニングによって、各患者さんのシビリティレベル(治療が必要か否か)を自動判別しています。画面右側の上位に表示されている患者さんは緊急度が高い(すぐに治療が必要な)患者さんであると判断できます。

デモ:シビリティレベルの自動判別

医療の現場ではIoTを活用して、このような自動化が行われているという事例の紹介でした。IoTデバイスとAzure、ソフトウェア・パッケージなどを開発者の皆さんが自由に組み合わせて、様々なソリューションを実現することができるため、是非チャレンジしてほしいとのこと。

ロボティクス

次の題材はロボティクス。今回のセッションでは基調講演でも出てきたPalmi(パルミ)君とPepper君が登場しました。

Palmi君

Palmi

今回のデモは、西脇さんの予定を取り込み受付を行うデモでした。このデモはOfice365と連携しているそうです。その他、ドリンクオーダーのデモとして、パルミくんが音声認識しその結果をExcel Onlineのスプレッドシートに自動入力するデモや、音声認識したデータを、別のサービスで書かれた議事録に添付する等、ロボティクスとクラウドサービスを連携したデモが披露されました。

Pepper君

Pepper君

次はPepper君を利用した見守りを行うデモです。ある空間の見守りをPepper君にお願いすると、音楽に合わせてるんるん踊る感じで見守り。見守り中に目の前で起きたことを画像認識等を活用して把握し、事後報告するというもの。写真では伝わりませんが、とても面白いデモでした。また、認識精度もかなり高いです。

自動車

次は自動車です。今回はなんと、会場内にあのテスラの実写が持ち込まれていました。西脇さんいわく、内燃機関を積んでいるクルマをイベント会場に入れるためには消防法の関係などで、いろいろな制約があるそうです。しかし、テスラは電気自動車で内燃機関がないため、大型のコンピュータを導入するのと手続き的には変わらなかったということ。

テスラ

今回はテスラをMicrosoft Bandから操作するデモが披露されました。仕組みはテスラに持ち込まれているSurfacesがコンパニオンデバイスとして機能しており、そのデバイスに対して、様々なアクションを与えることでテスラを制御、また、テスラから得られた車両情報をデバイスを通して収集し、クラウドにアップしたりすることが可能ということです。

テスラ車内
コンパニオンデバイス


このコンパニオンデバイス上のアプリは、C#やJavaでアプリケーションを書くことができるそうです。現在テスラは、安全性の面等から、サードパーティ制のアプリを認める(導入する)ことはやっていないそうですが、この取組には非常に大きな可能性があると、西脇さんは付け加えました。今まで、車両の制御等を自由にするということは難しかったが、Surfacesで.netやJavaを使いこの車両を自由にコントロールし、クラウド上から操ることが可能になる。非常に大きな可能性を秘めていると言っても過言ではないと付け加えました。

そして、もうひとつ、テスラに関するデモが行われました。テスラを持っている人が一番悩ましいのは、実は充電スポットを探すことだと西脇さんは言います。テスラは走行用バッテリーとしては、一般家庭1週間分の電気容量を蓄えているそうですが、実際に走行するとバッテリーの消費量は激しいのが事実。バッテリーを充電するための充電スポットを検索するアプリとして、EVSmartというものが出ているそうです。このアプリはXamarinで開発されているとのこと。

EVSmart

Xamarinを商用環境で積極的に活用してほしいと締めくくりました。

鉄道

Nゲージ 次は、鉄道ということでNゲージが登場。鉄分が高まってきましたー。余談ですが、このジオラマは銚子電鉄をモデルにしているそうです。







このNゲージのデモでは、Windowsタブレット上のXamarinで開発されたアプリから電車を制御します。Nゲージをコンピュータから制御するというのはわりとありふれたことかもしれませんが、このデモで一番重要なのは、センサーを利用して在線検知(鉄分が高い言葉かもしれないがお分かりいただけるだろうか?)を行っているということでした。

制御アプリ

仕組みは、線路上に電流を計測するセンサーを設置し、電車が通過すると電流が流れるため、その状態を検出して、電車が線路のどの部分に存在するのか判定するという。このデモでは、電流の情報はAzure IoT Suiteで収集し、タブレット上のアプリでそれを表示しているそうだ。(画面上部オレンジ色に変わっている部分が在線している位置)この仕組は、デモのために作ったわけではなく、今後実際の鉄道でも使われようとしている技術だという。

実際この技術を応用するとどんなことができるかといえば、速度・走行位置のリアルタイム表示も可能になるため、現在、人が電車の運行を集中管理しているところを、一部コンピュータに任せることができるかもしれないという。これに車両本体のセンサ情報(人がどれだけ載っているか等)を加えてマシンラーニングと組み合わせれば、実現できる可能性がある。可能性が広がっていると締めくくった。

船舶

次は、船舶について。まず最初にある動画が流されました。船舶の位置情報(AIS)は公開情報になっており、この情報を使って、Azure、マシンラーニング、PowerBIを組み合わせて、東京湾のすべての船舶位置の表示とすべての船舶の航行進路予測を行い、その結果から衝突予測を行い、必要な船舶に回避命令を出したり新しい航路を指示するというのを実現したそうです。この画像はその時の動画の一部です。

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(とても良く出来た動画でしたが、おそらく公開されてないと思われます)

東京湾は世界でも有数の過密航路区間となっており、衝突事故が発生しないように、通常は東京湾に入ってくる大型船舶にはタグボートが付くことになっているそうです。しかし、小型の船舶はそんなことが出来ないため、それを解決するために、マイクロソフトと中央省庁で一緒に行った取り組みが、この動画だという。

船舶の安全は古くは灯台の明かりと人間の判断によって守られてきました。それが、無線になり、レーダーになり、ITの技術革新によって、今ではマイクロソフトのクラウドと機械学習技術がお役に立てる時代になった、と締めくくりました。

無線航空機

次は、空、ドローンの話です。昨今、Windows 10 IoTで動くドローンが登場し始めたということ。実際会場では実物が披露されました。

Drone

このドローンを利用して実際に無人航行を行った際のフライト情報(バッテリー残量、電圧、高度等)をクラウドに蓄積し、PowerBIで可視化するというデモが紹介されました。

フライト情報可視化

 人/人工知能

最後は、基調講演にも登場した人工知能「りんな」の話題です。会場では画像認識のデモが行われました。

この画面は西脇さんのiphone上でLINEをつかってりんなと会話をしているところです。文章の代わりに柴犬のイメージをアップロードしています。 りんなと柴犬

西脇さんいわく、柴犬の画像を送って、「これは柴犬です」と返すのは、人工知能ではなくアシスタントであるということ。りんなは、人と楽しく会話をするにはどうすればいいかを考えて実践する事を目的とした人工知能なので、そうは返さないようです。上記例では、「超かわいい」と、それ以降話を繋げられるような返しができていることがわかると思います。

アシスタントと人工知能の違い

次に、りんなにテレビの音声を聴かせるというデモが行われました。左の写真のように、テレビの横で音声認識機能を利用して音声を取り込み送信してあげます。時間にして5秒程度。そうすると、写真右のようにどのテレビ局のどういう番組名なのか、その番組に出演しているタレントさんの名前や関連する話題を喋ってくれるんです。

テレビの音声を聴かせる
認識結果


このデモは、りんなとクラウド上の深層学習によるデモということです。マイクロソフトのデータセンタは地デジの映像をリアルタイムですべて蓄積しているそうです。今放送されている音声とアップロードした音声をクラウド上でリアルタイムにマッチングして、番組名を推測する。そこから、出演者の情報などを検索し、会話につなげていくということ。これはすごかった。

今日紹介した、りんなを使ったデモは皆さんも自分のスマホで試すことが出来るようなので、是非試してみてください!

技術革新に付いていこう

最後に昨今の技術革新について、こんな話がありました。

技術革新 1925年マンハッタン 「技術革新が進むと今までの職業がなくなるのでは?」とよく言われます。最近では人工知能の話題が熱いですし、尚更。そこで登場したのがこの写真。

1905年のマンハッタンの写真と1925年のマンハッタンの写真。(写真は1925年の方) 両方の時代の写真を比較し、1905年は馬車が全盛。当然馬の世話をする職業があったはず。しかし、20年後の1925年の写真では馬車が姿を消し、すべて自動車に置き換わっています。では、1905年当時馬の世話をしていた人達は、1925年には職を失っているのでしょうか?

西脇さんはこう言いました。

「違うんです。1925年になったら、駐車場やガソリンスタンド、板金工場を運営してるんです。カーアクセサリを売ってるんです。技術革新についていった人は職業を変えるんです。技術革新についていった人は職業がなくなることはありません。プログラミングできる人は絶対に職業が無くなることはありません。」

西脇さん

マイクロソフトのテクノロジーとそれを支えるエンジニアの皆さんのおかげで、将来は大きく変わって魅力あふれる未来になる。そんな未来を一緒に作っていきましょう。

最後にそう締めくくり、西脇さんのセッションは終わりました。

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