Mozilla JapanはなぜWebDINOに?瀧田佐登子さんに聞くMozilla・オープンソースコミュニティ、そしてWebの未来

編集長の白石です。

Web技術者であれば一度はその名を耳にしたことがあるであろうMozilla Japanが「WebDINO」と名前を変えたプレスリリースへのリンク)ことを受け、WebDINOの代表である瀧田 佐登子さんにいろいろと話を伺ってきました。

瀧田さんはWikipediaにも紹介ページがあるように、日本のWebシーンを裏で支え続けていた立役者。90年代の第一次ブラウザ戦争時代にはNetscapeの開発者として活躍し、その後Mozilla Japanを設立して、Mozillaコミュニティを日本に根付かせた方でもあります。

本記事では、WebDINOへの名称変更の裏側のみならず、Netscape時代のエピソードやオープンソースコミュニティへのこだわり、そして今後のWebのビジョンまでお聞きしてきました。 読み応えのある対談になったかと思います。お楽しみください〜!


■瀧田 佐登子さんのプロフィール
国内大手IT企業で UNIX・インターネット事業に従事した後、1996年より米国 Netscapeの開発現場でブラウザの国際化・日本語化を担当。Netscape日本法人撤退後も、米国本社所属のプロダクトマネージャとして国内の金融関連サポートおよびプロモーション業務を担う傍ら、Webブラウザ技術のエバンジェリストとして国内でのコミュニティ活動を行う。2004年、米国Mozilla Foundation の設立を機に、同財団の公式支部であるMozilla Japanを設立。代表理事としてMozilla製品・技術の普及活動、Web標準技術やオープンソースの推進、Webの新たな可能性の探求や人材育成などに取り組む。
2017年7月に、Mozilla Japanを一般社団法人WebDINO Japanへと社名変更。現在は、Webとオープンを軸にした、産官学・コミュニティをつなぐ非営利組織として、テクノロジーの普及とイノベーション拡大を目指す活動を行う。
2007年より慶應義塾大学非常勤講師。2009年より中央大学大学院 理工学研究科 兼任講師。日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー 2009 リーダー部門受賞。2009年度日本OSS貢献者賞受賞。第9回北東アジアOSS推進フォーラム特別貢献者賞受賞。


「Netscapeのオープンソース化」という事件の舞台裏

白石 こんにちは。瀧田さんにはずっとお会いしたかったので、お会いできて大変光栄です。

瀧田 こちらこそ。

白石 今回は、Mozilla JapanがWebDINOに名称変更したということで、実際のところを伺いに来ました。いろんな憶測も飛んでいる中で、いろいろと率直にお話を伺えればと思います。

瀧田 はい、ぜひ。なんでもお聞きください。

白石 瀧田さんはNetscape社にいらっしゃったんですよね。

瀧田 はい。元々は、日本企業でUNIXのエンジニアをしていたのですが、勤めていた会社がこれからはインターネット事業だ!ということで米国に視察に行ったんです。

そこでブラウザというものに初めて出会ったのですが、その頃のソフトウェアって当然のようにアメリカ中心で、国際化(Internationalization) のことなんかちっとも考えられていない。 インターネットってグローバルなものなのに、日本語対応とかが全然必要だとも思われていなくって。

そんなんでインターネットを語るなよ」みたいな気持ちもあって(笑)、フィードバックを繰り返していたら、逆にNetscapeから「入社しないか」というオファーがあったんです。

その時は「Web」という言葉も一般に認知されていないような時代でしたが、「Webは爆発的に普及するな」という予感もあったので、そのオファーを受けて入社しました。それが1996年頃ですね。

白石 その当時は第一次ブラウザ戦争と呼ばれる、Internet Explorerとの競争も激しかった時期ですよね。

瀧田 そうですね。あの時はブラウザ間の互換性も低く、多くの批判もありました。ただ、今考えると、あの激しい競争があったからこそ、あれだけのスピードで技術が進歩したんだとも思っています。

白石 その後、1998年にNetscapeのソースコードが公開されるという大事件がありましたね。その時の様子はどんな感じだったんですか?

瀧田 あれは実は、当時現場で働いていた私たちにとっても突然の出来事だったんです。社内でもごく一部の人間にしか知らされていませんでした。ある時カフェテリアに集まるように言われたので行ってみると、ソースコードをコピーした紙が高く積んであって、それを撒き散らし始めたんです。そうして、全社員に対してオープンソース化の件が発表されました。ものすごくびっくりしましたね(笑)。

白石 それは面白い(笑)。

瀧田 この時公開されたソースコードは公開用に準備されていたものでした。というのも、Netscapeには、サードパーティー製のコードもたくさん含まれていたのですが、さすがにそれを一緒に公開するわけにはいかない。なので、そうした部分が取り除かれたものが用意されたのですが、コードが歯抜け状態だとちゃんと動かないわけです。ダウンロードしたユーザーからは多くの不満が寄せられました。

白石 そんなこともあったんですね!Netscapeのコード公開が、「オープンソース」という単語と文化の誕生に大きく寄与した…なんて知識しかないものですから、裏にそんな苦労があったとは知りませんでした。

瀧田 大変でしたよー!そもそも公開する前提なんかで書いてないコードでしたから、Netscape Communicator 4 当時はコードもかなり汚かったんじゃないかな。使ってない関数がそのまま残っていて、誤って呼び出しちゃうなんてバグもざらにあったし。そんなコードを世の中に晒すのは、はっきり言って恥ずかしかったですね(笑)。

白石 なるほど。ただ、今だからお聞きしたいのですが、Netscapeのオープンソース化は、IEに対して負けを認めての半ばヤケクソだったのか、それともシェアを奪還するための「勝とう」という動機からのものだったのか、どちらだったのでしょう?

瀧田 当時のNetscapeは独立した営利企業ですし、やはり勝つための行動だったとは思います。

ただ同時に、コードをオープンにすることが、多くの不確実性を呼び込むということもわかっていたとは思います。 あとは、社内のエンジニアだけでは得られない社外の多くの人の叡智に賭ける(そしてシェアを奪還する)という思いも大きかったのではないでしょうか。

Mozilla Japanの立ち上げ

白石 98年のオープンソース化から、瀧田さんが2004年にMozilla Japanを立ち上げるまでの経緯はどんなものだったのでしょうか?

瀧田 NetscapeのAOLによる買収などを経て2001年には日本法人も撤退し、一時はもうブラウザをやめようかと思った時期もあります。ただ、Web標準の重要性を日本の企業に説明に行ったり、個人的にNetscapeの広報活動をしたり、オープンソースコミュニティと一緒に行うイベントなどの活動は続けていたんです。

そして、2003年にAOLが Netscapeなどのクライアント事業を完全に分離し、Mozilla Foundationが誕生したのをきっかけに、日本でコミュニティ活動をスケールさせるためには母体となる組織が必要だと感じ、Mozilla Foundationの公式アフィリエイト(支部)として、2004年にMozilla Japanを設立しました。

白石 コミュニティのためにMozilla Japanを設立した、と言っても過言ではないわけですね。

瀧田 はい、日本はもともと世界的に見ても Mozilla のコミュニティ活動が特に活発でした。当時の状況だと、非営利の法人が存在した方が、そうしたコミュニティ活動やオープンソースプロダクトの信頼性の確保につながると考えたんですね。もちろん、インターネットを健全で開かれた場所にするという Mozilla Foundation のミッションに強く共感したということもあります。

その後Firefoxがリリースされてからは、国際化はもちろんのこと、オープンソースを活用した人材育成だけでなく、Webの可能性の探求をはじめとする日本発のイノベーションを世界に伝えたいと思って活動していました。 やはり、日本人が持つこだわりや繊細さは、世界に通用するものだと思っていますから。

Mozilla Japan設立から13年経ちますが、いまだにそうした想いは変わらないですね。

Mozilla JapanはなぜWebDINOに?

白石 ではその13年後である現在、瀧田さんはMozilla JapanをWebDINOに名称変更されました。WebDINOという名称には、どういう意味が込められているんですか?

瀧田 Webは私たちにとって欠かせないものです。そしてDINOはWebに対して私たちが重視してきた、そしてこれからも重視する価値観を表しています。

DはDiversity (多様性)。
Iは私たちがずっと注力してきたInternationalization (国際化)ですが、人によってInternetだったり、Innovationだったりしてもいいと思っています。
NはNeutrality (中立性)。
OはOpenness (公開性)です。

この4つの要素をつなげたらDINOになったわけです。

白石 なるほど、様々な意味と想いが込められた名前なのですね。WebDINOに名前を変えるまでに、どういう経緯があったのでしょう?

瀧田 昨年末、Mozilla Japanの今後について深く考える機会がありました。

まずMozillaという組織についてお話しますと、最初にできた母体であるMozilla Foundationとその後2005年に設立されたMozilla Corporationから構成されています。 非営利法人であるMozilla Foundationが、営利企業であるMozilla Corporationを子会社として所有しているという形になっています。

Firefoxは、検索エンジンへの窓口として収入を得ていますが、その収入が非常に大きくなってきたことでNPOであるFoundationで扱える範囲を超えるため、財団の下に営利企業を作って運営するという形を取っているんですね。

白石 営利企業が非営利団体の子会社、って面白い構図ですね。知りませんでした。

瀧田 Mozilla Japanは、Mozillaの中ではちょっと特殊な立ち位置だったのです。Mozilla Corporation ができる前にMozilla Foundationの公式支部としてできた組織で、日本の独立した法人ですから。そういう特殊な立ち位置のまま13年経過した。

しかし今は、グローバルに向けた業務はMozilla Corporation に所属するスタッフが行うことになっているので、特定の地域に向けてのみ活動する組織というのは、Mozillaの中では認められていないんです。そこでこの状況をどう整理するかという時期に来て、組織としてどうあるべきかをあらためて考えた時、私たちがしたかったこと、してきたことを見直すきっかけになりました。

企業体としてのMozilla Corporationは、当然ながらプロダクトにフォーカスしています。 組織としてどうあるべきかをあらためて考えた時、私たちがしたかったこと、してきたことって、プロダクトを通じてMozillaの理念を伝えることもそうですが、日本の状況に寄り添ったMozillaの理念を軸にしたチャレンジングな活動だったはず。

だから、私には、Mozillaプロダクトのマーケティングだけを行っていくという選択肢はあり得なかったのです。 というのも、私たちはMozillaのユーザーはもちろん、すべてのWeb、インターネットを使う人たちのために何をすべきかを考えたいと思っていたので。

なので、組織体制的にMozilla Japanをどういう位置づけにするべきかという選択の中で、Mozilla Foundationの公式支部という立場を離れ、外部組織として連携を図っていくことにしたというわけです。

白石 元々ががミッションやコミュニティ、オープンソーススケールのために作ったのだから、プロダクトのマーケティングのみを行う組織には甘んじたくなかったと。

瀧田 というより、もともとAOLから離れて100%NPOとしてコミュニティ主導に変わり、Mozilla Foundationができた時に賛同して作った組織なので、その頃からの志は変えたくないというか。例えばMozilla Europeなんかは、Mozilla Corporationが設立された時点で、その傘下に入りました。Mozilla Japanにも、当時そういう選択肢はあったのですが、そうしなかったという経緯もある。

そういう歴史も踏まえつつ、これから5年10年先を見据えて「Mozilla Japanはどうすべきか」と考えているうち、自然と「Webはどうあるべきか」を考えていたのです。それに気づいた時、Mozilla組織内という立場にとらわれず、逆にもっと大きな視野でWebを考える立場として活動する方がフィットするのだと判断しました。

白石 それは大きな決断ですね。今後、Mozillaとの関わりはどうなっていくのでしょう?

瀧田 もともと特殊な立場だったので、当面はそれほど大きな変化はないですね。Mozillaのプロダクトマーケティングだけをやってきたわけではないのでスタンスも変わりませんし、引き続きMozilla Foundationの活動には協力していくことになっているので。 活動資金という面から言うと、これまではMozilla Corporationからマーケティング活動に対して予算を割り当てられていましたが、今後は外部組織という立場から、Mozilla Foundationにプロジェクトベースで相談していくことになります。

白石 なるほど、運営面では当面大きな変化はないと。ただ、その先もサステナブル(持続可能)な活動が可能なのでしょうか?

瀧田 Mozillaのマーケティング以外に行ってきた様々な事業も引き続き行いますし、今後も色々と構想しています。チャレンジであることは認めます。しかし実は数年前から、ブラウザという枠を出たい、もっと外からWebを眺めたいと思って活動していたんです。

現在、技術という面ではWebは多少停滞しているのでは、という思いがあります。だからこそ、Webをブラウザという枠の外にどんどん広げたいと思っています。IoT/WoTの活動や、CHIRIMEN OPEN HARDWARE のコミュニティ活動支援なども引き続き行っていきたいと思っています。そういうチャレンジに正面から向き合えることは、正直ワクワクしていますね。

オープンソースコミュニティとしてのMozilla、企業としてのMozilla

白石 ところで、Mozilla JapanがWebDINOに変わったように、Mozillaという組織やコミュニティ自体にも、何がしかの変化が起きているのでしょうか。

瀧田 Mozillaに限ったことではありませんが、企業体が大きくなったことで、企業体とコミュニティのバランスが難しいところに来ているとは感じています

Mozilla Corporation内で給与をもらってエンジニアリングをしている人もいれば、コミュニティには純粋にボランタリーな人もたくさんいるわけです。そうした多様な開発者と、分け隔てなく接していけるかどうか。難しくも繊細な問題です。

白石 例えば、Mozillaが開発方針や優先順位を定めたとしても、善意や関心で関わっているコミュニティの人々は、Mozillaのリードに従う義務はないはずです。そこのバランスをどう取って、開発を進めているのかは、ずっと誰かに聞いてみたいと思っていました。

瀧田 Mozilla Corporationは、MozillaやFirefoxというブランドを保持している以上、そのブランドの価値を高めていく必要があります。そこで、開発全体を管理しようという欲求が生じるのはある意味やむを得ないところです。

それが、コミュニティ的な自由とのせめぎ合いになるところなのは間違いないですね。Mozilla Japanのメンバーは、Mozillaの組織がまだ小さかった頃から関わってきたので、そうしたせめぎ合いの中でも、常に「Mozillaらしさ」を意識して行動するようにしていました。

白石 なるほど、やはりそういうせめぎ合いはあって、バランスを取って進めていたのですね。

ではもう一つ、前から疑問に思っていたことを聞かせてください。Firefoxのシェアが下降しているというデータがありますが、それについてMozillaやMozilla Japanはどう捉えていたのでしょうか。

というのも、非営利組織であり、ミッションを重視するという立場からすると、競合と言えども「Webを盛り上げる仲間」という捉え方もできるわけです。そうなると、シェアを伸ばそうという強いモチベーションは生まれにくいのではないかと想像していました。

瀧田 おっしゃる通り、何が何でもマーケットシェアを拡大していこうという貪欲さは、Mozillaには馴染みがないものだと思います。ただ個人的には、ある程度のシェアを確保しておく必要はあると感じています。

というのも、Firefoxが登場して間もないころはInternet Explorerの独占状態で、私たちが何を言っても「なぜいまさらブラウザなのか」という扱いで、誰にも相手にされないような状態でした。目標とするマーケットシェアを尋ねられた時に「25%を目指します」と答えたら、あまりに非現実的だと受け止められて、鼻で笑われたものです。

しかし、シェアが10%を超えたあたりから明らかに周りの反応が変わってきて、実際に25%に近づいたときには、私たちの言うことにみな耳を傾けてくれるようになりました。そういう経験から言うと、発信力や発言力を保っておくためにも、シェアは少なくとも10%以上はキープしておかないと、という思いがあります。いくら崇高なミッションを掲げていても、耳を傾けてもらえなければ意味がありませんから。

ただし、シェアが高いだけではだめで、そのシェアを持つことで何を伝えるかが重要だと思っています。シェアを持ったベンダーは、マーケットに対して何を貢献するのか、Webの標準の重要性だったり、Webのエコシステムだったりと、ミッションとシェアの両方があることが重要なのだと思います。

あとは、製品を提供する企業が一社では良くないという想いもあります。先程も申し上げましたが、第一次ブラウザ戦争は痛みももたらしましたが、技術の急激な進歩を後押ししました。 技術革新の健全な競争は、Webの発展のためにも必要だと思います

白石 発言力という点で言うと、シェアの変化に伴い、W3C内でのMozillaの発言力に変化はありますか?また、WebDINOになってW3Cとの関わり方に変化はあるのでしょうか?

瀧田 国内の話で言うと、これまでもW3C/Keioさんとは、日本独自のイベントなどをいろいろとコラボレーションをさせていただいてきました。日本のWeb発展のためにも、できればそうした関係はこれからも続けていきたいと思っています。

W3CでのMozillaの発言力という点については、それほど影響は出ていないのではないでしょうか。HTML5で最も話題になっていた頃に比べると、標準化の活動が落ち着いているな、という感はありますがWeb技術はどちらかというと発展のフェーズから活用のフェーズに入ったのではないかと思います

これからのwebはどうなるか、どうあるべきか

白石 では瀧田さんは、今後のWebはどうなるとお考えですか?

瀧田 Webは、ブラウザの枠を出なくては…という思いはありますね。

Firefox OSの開発中止が発表されたあたりでしょうか、今後のコミュニティ、Web、そしてインターネットはどうあるべきか、よく考えたんです。その時感じたのは、ブラウザという枠から出ることのできないMozillaのままではいけない、一旦外に出てWebを見直さなければいけないということです。

そうして実際に、ブラウザの枠を超えた活動を通じて、実際に触ることのできるリアルなものとWebがつながることが大事だという想いを深めました。すべてのものにURLが振られ、触れるものすべてがWebとつながっている世界。そこには、今のブラウザが想定しているようなビジュアルなUIはありません。ブラウザは空気のようにならなくてはならない

白石 そうなった時、もはやそれを「ブラウザ」とは呼ばないでしょうね。ブラウジングじゃありませんから。

瀧田 そうです。ブラウザは、この先もずっとブラウザと呼ばれているようではダメだと思います。

白石 すごく進んだ考え方だと思います。

瀧田 はい、もしかすると私はいつも早すぎるのかもしれません。

この間部屋を片付けていたら過去の講演資料が出てきたんですが、2004年くらいの時点で、Webはコミュニケーションとアプリケーションの基盤になるということや、モバイルWebについても語っているんです。

そしてMozillaがFirefox OS、つまりモバイルを語り始めた頃には、IoTとWebについて語っていた。技術というのは10年くらいで一つの区切りがあると考えているのですが、一区切り先を語ってしまっているのかもしれないな、と思います。

ただ、そういう人もいていいのかな、とは最近思うんです。私は鉄腕アトムが好きなんですが、その世界観が多くの人に影響を与えて、実際の世界にも近づいてきていると感じています。そういう、未来に関するビジョンを示すという役割も世の中には必要なんじゃないかな…と考えています。

ちなみに、白石さんはWebの未来について、今後どうなるとお考えですか?

白石 うーん…ぼくは、瀧田さんほどビジョンめいたものは抱いていません。が、最近ぼくはコミュニティというものに改めて価値を感じているんです。

瀧田 改めて、ですか?

白石 はい。ぼくがコミュニティ(html5j)を運営していた頃って、実はコミュニティというものにそこまで価値を感じていなかったんです。感じないようにしていたというか。それは、「自分の行っている活動に価値がある」なんて思い上がりをしないよう、自分の中でブレーキをかけていたのが大きいんですが。

コミュニティって、明確に形があるわけじゃないから、とらえどころがない。資本主義的な価値観から言っても、価値はそれほど感じられない。お金が儲かるかというと、そうではありませんから。

瀧田 そうですね(笑) 。お金を儲ける道具と考えてしまうと、コミュニティってうまくいきません。

白石 そういう意識を常日頃から持ち続けることで、コミュニティというものに価値を感じるという感覚を封じてたんですね。でも、自分がコミュニティリーダーを離れて、少し離れたところからコミュニティというものを考えられるようになって、ようやく価値を実感し始めたというところなんです。

なくてはならないものというか、価値うんぬんは関係なく、人間がたくさんいる限り自然に発生するものというか。そしてそういうコミュニティを作り、運営するという点については確実にスキルや経験が問われる要素がある。

そういう点では、瀧田さんがMozilla Japanを通じてオープンソースコミュニティを支えてきたという経験は、何物にも代えがたいものなのではないか…なんて思いながら聞いていました。

瀧田 Webの価値って、結局人なんですよね。人と人がWebを通じて繋がっている、そこにこそWebやインターネットの価値があるんです。Mozillaはブラウザというプロダクトを通じて、またオープンソースコミュニティを通じて、人と人を結びつけました。そこにはきっと、テクノロジーの流行り廃りを超えた普遍的な価値があると思います。

白石 そうした価値こそが、WebDINOが体現していくものなのかもしれませんね。お忙しいところ、本日はどうもありがとうございました。大変楽しかったです。

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