組込み+HTML5の持つ可能性は?「HTML5 run anywhere」HTML5 Conference2013

2013年11月30日に開催された「HTML5 Conference2013」において行われた数々のセッション。株式会社ACCESSの長野宏輔氏が「組込み+HTML5」の持つ可能性について語った「HTML5 run anywhere」をレポートする。

長野さん

車載機器、ハイブリッドキャストなど
HTML5×組込はすでに実現

実は、HTML5の技術が利用されるシーンは、PCやスマホ向け以外にも広がってきている。例えば、テレビやカーナビ、ゲーム機、デジタルサイネージ、家電のUIなど。つまり組込向けにもHTML5のコンテンツが開発できる環境が、ここ数年で着実に用意されてきているのだ。

長野氏によると、例えば車載機器からの情報取得に関する技術として、W3Cを中心にwebinos GENIVI LG QNX CAR Tuzen Webinosなど様々なプレーヤーから組込向けAPIが提供されていることで、仕様の策定を行っている。その結果、ガソリンのタイプやギアの種類、エンジンの回転数、エンジンオイル残量、室内温度、ドライバのIDなどがリアルタイムでナビゲーションのヘルプ画面に、ブラウザによって表示されることもすでに実用化している。

その一方で現状、先ほど紹介したようなプレイヤーが自社の技術を標準化しようとする傾向が強く、現状では各社のAPI仕様には違いが大きいなども問題点も指摘されている。

またテレビにおいても2013年、NHKから「ハイブリッドキャスト」と呼ばれる放送と通信を連携させた新しいテレビサービスがスタート。ニュースや気象など、番組に関連する情報をこれまでのデータ放送より鮮明な画質で提供するというもので、この技術にもHTML5を活用したアプリ開発が行われている。そしてここでも「SmartTV Alliance」として規定された規格が多数、出されている。

組込向けHTML5開発のメリット&デメリット

他にもエアコンや洗濯機、炊飯器など利用対象となる家電製品は多々あるが、問題なのは「本当にこうした機器にも現実的に使えるのか?」という点。

そこで今回、改めて組込向けHTML5開発におけるメリットとデメリットをまとめてみたい。

メリット

  • HTML5/CSS/JavaScriptによるコーディングが可能なため、開発者が多く、開発のスピードアップや効率化が可能
  • 各種APIがすでに揃えられているため、開発環境が充実している

デメリット

  • 基本的に低いスペックが多い
  • 対象となる組込製品によってはエフェクト系が苦手な場合もある
  • HTML5を実行するためには、実行環境に対する要求スペックが非常に高いHTML5実行するためには、実行環境に対する要求スペックが非常に高い点 例:「ROM:27MB RAM:起動7MB+コンテンツサイズ」

このように、開発環境が充実しているメリットもある半面、組込製品にHTML5を新規に導入するためのハードルの高さもあるようだ。 そのため、あえて「HTML5を使わない」という選択肢もある。 既存の組込向け製品に対する最適 なプロトコルが存在する(例:ECHONET Lite SEP2.0など)以上、それをもしHTML5に置き換えるとしたら、非常に手間がかかるという懸念点もあるのだ。

過去の組込技術を生かしつつ、
HTML5によってスマートデバイス連携を可能にさせる

そこで長野氏が提唱するのは、「過去の資産生かしつつ、Web標準技術を活用したUIアプリ開発を可能にしていく」という、より現実的な手法。同氏はこれを「餅は餅屋」ということわざに例えている。

例えば「HTML5+ECHONET Lite」の場合、家にルーター(HTML5ブラウザによるサービス+プロトコル)を設置し、そこから外部へはHTML5経由でクラウド、さらにそこからスマートフォンやタブレット端末に搭載されたHTML5アプリケーションによってエアコン温度の設定や電気のON/OFFを外部から自動操作できるようになる。

またこうした技術を活用して、スマホと家電をつなぐ「スマートデバイス連携」を可能にさせることも可能だ。例えばスマホをコントローラーにしてTVと連携することでゲームをプレイする。さらに「フルミエル」というアプリでは、ゴルフのスイングの軌道を「見える化」したり、電子出版としての活用も可能だ。

このように、いつでもどこからでもスマートデバイス連携を可能にするHTML5は今後、様々な組込機器にも広がっていくことが予想されている。そして、その動きをさらに加速させていくためには、もっと「HTML5×組込」に関する様々なプロモーション活動を活発化させていくことが、成功のカギを握っていると長野氏は指摘している。

本セッション最後に長野氏は、参加者に対して「HTML5と組込」というテーマにおいて、

  • 今後、絶対につながってほしいもの
  • 今後、確実につながるもの
  • 今後も絶対につながらないもの

という3つのアンケート回答を求めた。

そこにはWeb技術者に対して、Webの仕事はもはやWebブラウザの中だけにあるのではないこと。そしてWeb技術者が持っているスキルをそのまま活かして、これまでとは全く異なる様々な業種で活躍できる時代が、もうすぐそこに来ていること。

その上で、Webブラウザ以外のプラットフォームが備える様々なJavaScript をAPIに触れながら、HTML5/JavaScriptが持つ非常に大きな可能性について今後、Web技術者が中心となって切り拓いてほしい、というメッセージが込められている。

(レポート:山田政明/撮影:串田幸江)

【講演資料・セッション映像】

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