小室智昭

サンフランシスコから速報!TechCrunch Disrupt SF 2014 Day3

早いもので、あっという間にTechCrunch Disrupt SF 2014の最終日を迎えました。今年も3日目はHardware Dayです。ガジェット好きにはたまらない1日になると思います。

今日はHardware Alley(展示会場)の様子を中心に、Pitchの優秀賞受賞者についても報告したいと思います。

Hardware Alleyで見つけた気になるデバイス

今年は、Internet of Things関連のデバイス、Drone、roboticsが数多く展示されていると予想していましたが、予想通りにInternet of Things関連の製品であふれていました。一方、Drone、Roboticsを扱うStartupは1社ずつしかいませんでした。まさしく、いまシリコンバレーはInternet of Thingsブームの真っただ中にいます。

Internet of Things

今回のHardware Alleyに出展されているInternet of Thingを大まかに分類すると、Connected Home、Connected Car、Connected Life、Securityの4つのカテゴリーに分けられます。そこで、各カテゴリーの中から将来有望なサービス、斬新なアイデアなサービスを紹介したいと思います。

Connected Home

Home AutomationのパイオニアのiControl社が先週、OpenHomeというConnected Homeに関する新たなアライアンスを発表しました。先週発表したばかりなので、参加企業はまだ多くありませんが、家電メーカー、鍵メーカー、家具メーカーなどがOpenHomeに参加しています。iControl社の担当者から、「アライアンスは、エンドユーザーが家電、鍵、家具などを購入するときに、どの製品がインターネットにつながって、どの製品が繋がらないのか迷わないようにすることが目的です」という話を聞くことができました。

今日は、OpenHomeに参加している企業のうち、FinlandのBttn社、Playtabase社、AustraliaのZEN社が出展していましたが、ここでは、斬新なデザインで注目を集めているFinlandのBttn社はについて紹介します。Bttn社は家電を操作する手のひらサイズのボタンを開発しました。ユーザーは、ボタンを押したときに、どの家電とつながって、どのようなことをしてほしいかを同社のダッシュボードで設定します。次に、真っ赤なボタンを押すと、設定した家電に指示が送られ、指示通りに家電が動きます。ただ、設定は一つのボタンに一つの指示しか設定できないため、家庭にあるすべての家電や鍵などを一つのボタンで操作することはできないとのこと。この辺りの改善は、Bttn社のロードマップに入っているそうです。

Bttn社のConnected Homeソリューション

Bttn社のConnected Homeソリューション

Connected Car

米国ではOBD-IIポートを用いたDriving Logアプリが、俄かにブームになっています。昨日登壇したVinli社も同じカテゴリーに属するStartupです。今日は、そのVinli社の直接のライバルになるMojio社が、Hardware Alleyに登場しました。Mojio社のDriving LogもCAN(Controlled Area Network)のデータをOBD-IIポートを通じて収集しSmartphoneアプリで可視化する仕組みです。

ただ、Vinli社以外のライバル企業と違う点は、APIを公開し、コミュニティを構成し、Open Platformとして開発者にアプリ開発環境を公開していることです。Mojio社、Vinli社以外は端末からSmartphoneアプリを垂直統合型で運営し、端末販売を主な収入源にしています。しかし、Mojio社はOpen Platformとして開発環境を提供し、コミュニティの拡大に合わせて利用者を増やして、月額利用料で収入を得るモデルをとっています。

また、Mojio社のデバイスは他のライバル企業のデバイスとは違い、OBD-IIデバイスにSIMカードを内蔵し、SmartphoneがなくてもDriving Logを収集できるようにしています。Mojio社へのインタビューで聞いたのですが、米国時間の来週の月曜日にAT&T社との提携を発表するそうです。Mojio社のサービスの利用料は1年間無料で、2年目から$5.00の月額利用料を徴収する予定とのことです。

Mojio社のSIM内蔵OBD-IIデバイス

Mojio社のSIM内蔵OBD-IIデバイス

Connected Life

このカテゴリーではBloomSky社を紹介します。カメラ、温度センサー、湿度センサー、気圧センサーを内蔵し、狭い範囲の気象データ(Micro Climate)を取得するデバイスです。BloomSky社のデバイスをビルの屋上や庭などに設置すると、定期的に同社のクラウドに写真・気温・湿度・気圧などの観測データが送信され、どこからでもその情報にアクセスして気象状況を確認することができます。

同社のデバイスをくまなく設置しておけば、例えば自宅近くのゲリラ豪雨の状況を帰宅前にオフィスから確認することができたり、豪雨による被害の予兆を市民みんなで確認して被害を最小限に抑える、などの利用シーンが考えられます。同社のデバイスは$149.00で販売を予定していて、現在、San Francisco市でベータテストを展開しています。

BloomSky社の気象観測デバイス

BloomSky社の気象観測デバイス

BloomSky社のモバイルアプリ

BloomSky社のモバイルアプリ

Security

このカテゴリーではScout社を紹介します。Scout社はドアに取り付けるセンサーとSmartphoneアプリを開発しています。ドアに取り付けるセンサーはWi-Fiでインターネットにつながっていて、Smartphoneでドアや窓の開閉に関するアラーム設定のON/OFFを操作することができます。同社は、Smartphoneが電波の圏外であったり、Smartphoneの電池がなくなっていた場合のことを考慮し、RFIDタグでもドアや窓のアラーム設定のON/OFFを操作できる設計にしています。

北米では、防犯のためにドアや窓にアラームシステムを取り付けている世帯が多いですが、操作が複雑なものもあります。そういう意味では、簡単かつ遠隔でドアや窓のアラーム設定のON/OFFを操作できるScout社のソリューションは北米市場では受け入れられると思います。

セキュリティセンサーのScout社のデバイス

セキュリティセンサーのScout社のデバイス

Others

その他のカテゴリーとしてまずはPetcubeを紹介します。同社はカメラとレーザーポインターを内蔵したデバイスとSmartphoneアプリを開発し、遠隔地からペットと遊べるソリューションを提供しています。カメラとレーザーポインターを内蔵したデバイスはWi-Fiでインターネットに接続することができます。

使い方を説明すると、まずユーザーは同社のSmartphoneアプリを起動して、デバイスに接続します。するとカメラ撮影されたペットの映像をSmartphoneで見ることができます。次にSmartphoneに写っている映像を指でタッチします。すると、レーザーポインターが床や壁に映し出されます。指を動かすとレーザーポンターも動くので猫や犬がその動くレーザーポンターを追いかけるという仕組みになっています。

ユーザーは同社のアプリを使って画面をキャプチャーしてFacebookなどのSNSに投稿することができます。留守中にペットの監視をしたいという声をよく聞きますが、同社のソリューションはその一歩先を行っていると思います。

遠隔でペットと遊べるPetcube社のアプリ

遠隔でペットと遊べるPetcube社のアプリ

次に、ビジネスモデル的に面白いDoblet社を紹介します。同社は、レストランや空港などの人が集まる場所に無料で配布するポータブル充電器とiOSアプリを開発しています。想定しているビジネスモデルは、ユーザーが充電が必要な時に同社のiOSアプリで充電スポットを検索し、ユーザーが同社のポータブル充電器を使って充電すると、一回あたり$3.00の利用料を自動的にクレジットカードに課金するというものです。もちろん、事前にクレジットカードの設定が必要です。さらに、仕組みは教えてくれませんでしたが、Apple社に30%のプラットフォーム利用料を支払わなくてもいいように工夫しているそうです。

Doblet社のポータブル充電器

Doblet社のポータブル充電器

最後に、Skully Helmet社を紹介します。同社は小型モニターと後方カメラを実装したヘルメットを開発しました。小型モニターは、ナビゲーション画面を表示したり、後方カメラの映像を表示することができます。また、スピーカーも内蔵しているため、ヘルメット装着中に音楽を聴くことができます。Glassの新たな進化系となるかもしれないと思い、紹介しました。

Skully社のSmart Helmet

Skully社のSmart Helmet

Skully社のSmart Helmetの後方カメラ

Skully社のSmart Helmetの後方カメラ

Startup Battlefield決勝

二日間のStartup Battlefieldで勝ち残ったx社がAwardをかけて再び登壇しました。決勝に勝ち残ったStartupは、Alfred社、Shipstr社、Stack社、Partpic社、PatternEQ社、Vinli社の6社です。残念ながら日本から参加したFOVE社は決勝に進むことができませんでした。審査員は、Roelof Botha (Sequoia Capital)、David Lee (SV Angel)、John Lilly (Greylock Partners)、Marissa Mayer (Yahoo)、Keith Rabois (Khosla Ventures)、Kevin Rose (North, Google Ventures)の6人です。

Winner of TechCrunch Disrupt SF 2014 Startup Battlefield

WinnerはAlfred社です。同社は、ワンストップで家事をオンデマンドで依頼できるサービスを提供しています。TechCrunchはやっぱりUber的なサービスが好きみたいです。過去にもオンデマンドで自動車を修理するサービスを提供するStartupがWinnerとなっています。今後、皆さんがTechCrunchでWinnerとなることを目指すのであれば、Uber的なサービス、アプリを考えましょう。

Startup Battlefieldで優勝したAlfred社

Startup Battlefieldで優勝したAlfred社

以上でTechCrunch Disrup SF 2014 Day3の報告は終わりです。後ろ髪を引かれつつ会場を後にしました。

夕日に染まる会場

夕日に染まる会場

皆さんの期待に添える内容になっていたかはいささか不安ですが、最後まで読んでいただいた方に感謝します。今後も海外イベントの情報について、速報ベースで報告していきますので、楽しみにしていてください。

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