本間 咲来

SkyWay MultiPartyを使ってグループチャットを作ろう

連載2回目の今回は、7月28日にリリースされたライブラリ、SkyWay MultiPartyのチュートリアルをお届けします。 SkyWay MultiPartyは、一言で言うと多人数によるビデオ・テキストチャットを『簡単に』作るためのライブラリです。

本ライブラリを使用することで、グループビデオチャットやテキストチャットを、 ほんの20行程度のJavaScriptコードで実装をすることができます。

サンプルコードを用意していますので、手元で実行しながら進めてみましょう。

10行ビデオチャット

以下のスクリーンショットをご覧ください。

videoチャットサンプル

まずはこのような複数人が参加できるビデオチャットシステムを、10行程度のJavaScriptコードで実装してみましょう。 サンプルコードを以下に記載します。

早速動かしてみましょう。

上のコードを、videochat.htmlという名前で保存します。

19行目でSkyWayのAPIキーが必要となりますので、使用する際はSkyWayから開発者登録を行ってください。 本サンプルで使用するには、利用可能ドメインに『localhost』と書いて、APIキーを取得する必要があります。

PCにApacheやNginxなどのサーバがインストールされている場合は、そちらで動かしても問題ありませんが、 入っていない場合は、以下の様にPythonのコマンドでWebサーバを起動できます。

localhostの8000番ポートでWebサーバが起動するので、Chrome、Firefox、Operaのいずれかのブラウザでアクセスしてみましょう。

videoチャットサンプル

次に別のタブやブラウザで、もう2、3個同じページを開いてみます。

複数人のグループvideoチャット

複数人参加のビデオチャットが実装できていることがわかります。

ビデオチャットのコード

それではコードを見てみましょう。

今回はjQueryを使用するので、4行目でjQueryを読み込んでいます。 (SkyWay MultiPartyを使用するのにjQueryが必須というわけではありません) 5行目と6行目で、SkyWayライブラリ(peer.min.js)とSkyWay MultiPartyライブラリ(multiparty.min.js)を読み込んでいます。 13行目で、ビデオを表示するためのdivを1つ用意しています。

18〜33行目がJavaScriptコードです。大きくMultiPartyオブジェクトの生成部分と、イベントハンドラ部分に分かれています。

SkyWay MultiPartyでは、最初にコンストラクタを呼ぶことで MultiPartyオブジェクトを生成します。引数にはAPIキーが必要となります。

続くコードがmultipartyオブジェクトのイベントハンドラになります。

SkyWay MultiPartyでは、

の形式で、イベントハンドラを設定することができます。

サンプルでは3つのイベントに対し、ハンドラを定義していることがわかります。

1つ目が'my_ms'で、これは自分のメディアストリームの準備が整った際に発生するイベントです。メディアストリームとは取得した映像や音声を扱うためのオブジェクトで、例えばPCのカメラやマイクから取得した映像・音声がこれにあたります。 コールバックとして呼ばれる関数には、メディアストリームから生成したオブジェクトURLとidがオブジェクトとして渡されます。 ライブラリにはそのオブジェクトからvideoノードを生成するユーティリティが用意されていますので、それを使用しvideoノードを生成・表示しています。

2つ目は、'peer_ms'というイベントに対するコールバックで、これはチャットの相手(peer)のメディアストリームを取得する準備が整った際に発生するイベントです。 こちらも自分のメディアストリームと場合と同様、videoノードを生成・表示しています。

3つ目のイベントは'ms_close'で、peerのメディアストリームの切断を検知した際に発生します。 このコールバックでは、peerのvideoノードを削除する処理を書いています。

以上で、ビデオチャット機能を実装することができました。

10行テキストチャット

続いてテキストチャット機能も実装してみましょう。

まず、テキストの入力と表示を行うためのHTML要素を追加します。 以下のコードを『<div id="streams"></div>』の下に追加してみましょう。

次に、以下のJavaScriptコードを、『</script>』の前に追加します。

それでは先ほどのページをリロードしてみましょう。

textチャットサンプル

入力フォームが追加されたことがわかります。 文字を入力し、エンターキーを押すと、そのテキストが表示されます。

複数人のグループチャット

他のタブや、ブラウザから入力したテキストも表示できることが確認できます。

テキストチャットのコード

それではコードを見てみましょう。 テキストチャットのコードは、データを送信する際の処理と、データを受信する際の処理に分かれています。

以下のコードで、テキストが入力され、送信されるまでの処理を記述しています。

multiparty.send()で、テキストをそのまま送信していることがわかります。

そして以下の部分で、メッセージを受信した際に発生するイベント'message'に対する、コールバックを設定しています。

簡易ではありますが、テキストチャットを実現することができました。

おわりに

今回は、SkyWay MultiPartyを使ったビデオ・テキストチャットの作り方をお届けしました。 少しのコードで簡単に実装できることがお分かりいただけたかと思います。

次回は、同じく7月28日にリリースされたSkyWay音声認識APIについてのチュートリアルをお届けいたします。

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