10月17日 (日本では18日)より、Windows 10 Fall Creators Updateが公開されました。今回のアップデートではWindows Mixed Realityに準拠する MRデバイスのサポートやゲーム配信など、さまざまな機能が追加されています。
Windows Fall Creator Updateとは?
Windows 10に対して行われる年2回の機能アップデートのうちのひとつです。
今回の Windows Fall Creator Updateで提供される新機能は以下のページで紹介されておりますのでぜひご覧ください。
この記事ではWindows 10 Fall Creators Updateに搭載されるMicrosoft Edgeの新機能について紹介します。
Microsoft Edge (EdgeHTML16)の新機能
Windows 10 Fall Creators Updateに搭載されるEdgeは、一目でその存在がわかるような派手な機能の追加はありませんが、着実にブラッシュアップアップされています。
とはいえ、実際にユーザーの目に触れるUIとデザイン箇所の新機能から順に紹介していきたいと思います。
UI デザインと機能
ボタンアニメーションの改善
Fluent Design Systemにインスパイアされ、Microsoft Edgeのブラウザーフレームをよりモダンにリフレッシュしました。アクリルマテリアルの使用は、タブバーや他のコントロールに奥行きと透明性を提供し、より応答性と楽しさを感じるようにボタンのアニメーションを改善しました。
単語と行の強調表示による読み上げ
WebサイトやPDFからのテキストを選択して右クリックし、コンテキストメニューから「読み上げ」を選択すると、テキストが音声で読み上げられます。選択内容が読み込まれ、その際に単語や行が強調表示されます。
Microsoft Edgeのフルスクリーンモード(F11)
フルスクリーン機能が正式に導入されています。Edge では、これまでもキーボードの [Shift] + [Win] + [Enter] キーを押下して全画面表示が可能でしたが、この方法は正式にはアナウンスされおらず、ある意味隠しコマンド的なものでした。
今回のアップデートからは、[F11]キーを押下するか、設定メニューの新しいフルスクリーンアイコンを選択するだけで、Webサイトをフルスクリーンで表示できます。[F11]キーをもう一度押すか、右上隅にある復元アイコンをクリックして、全画面表示を終了することができます。
JavaScriptダイアログボックスが表示されていても終了可能に
これまでのEdgeまたは他のWebブラウザーでも、JavaScript の alert コマンドでなどで表示されるダイアログボックスが表示された状態では、終了することができませんでた。
一部の悪質なWebサイトでは、この仕様を悪用して任意の操作を行うまでダイアログを表示し続けるということが現在も行われています。
しかし、今回のアップデートでは、JavaScriptダイアログボックスが表示されている場合でも閉じるボタンを使用して正常にEdgeを終了することができるようになりました。
Webサイトのアクセス許可設定
Web サイトには、閲覧者の位置情報やWebカメラへのアクセス、またはデスクトップ通知の送信などの許可を求めるものがあります。
今回のアップデートでは、これまでWebサイトごとに行ったアクセス許可設定が確認できるようになっています。
これまでWebサイトに付与したアクセス許可を確認するには、アドレスバーに表示される鍵マークのアイコン、丸中にエクスクラメーションマーク (!) が描かれたアイコンのいずれかをクリックします。
いずれのアイコンも表示されていない場合は、メニューバーの […](設定) – [詳細設定を表示] の画面で「Webサイトのアクセス許可」の[管理]ボタンをクリックします。
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アドレスバーとタブ
アドレスバーのデザインを調整
ユーザーからのフィードバックに基づいてアドレスバーのデザインを調整しました。これで、アドレスバーにフォーカスがない場合でも、テキストをクリックしてドラッグしたときに開始されても、カーソルの下に残ります。以前は、「http://」の表示に合わせてテキストがシフトしました。この変更により、URLの一部を簡単に編集することが容易になりました。
また、URLバーにフォーカスが当たったときに URLバーのテキストが移動し、URLの特定の部分を編集しにくくなる問題が修正されました。このビルドから、URLをクリックしてもカーソルの下のテキストは同じままになります。
タブの閉じ方をより詳細に制御
前述の「JavaScriptダイアログボックスが表示されていても終了可能に」のところでも紹介しましたが、Microsoft EdgeでJavaScript(警告、プロンプトなど)のダイアログが表示されている場合でも、タブを閉じるためにタブバンドの X を常に使用できるようになりました。
ダイアログが表示されている間も、多くのブラウザ機能(お気に入りバー、設定など)にアクセスすることもできます。
開閉時のアニメーション表示
新しいタブは、開閉時にタブバー上にスムーズにアニメーション表示されるようになりました。
セッションの復元の動作が改善され、(たとえば電子メールからの)リンクをクリックしてマルチウィンドウのEdgeのセッションを復元すると、復元の最後にフォーカスが当てられたウィンドウが新しいリンクを含むウィンドウになります。
スプラッシュページの色の遷移がスムーズに
Microsoft Edgeのスプラッシュページ(新しく起動したときに表示される)の色がよりスムーズにスタートと新しいタブ ページに遷移できるように。
改善されたお気に入りのエクスペリエンス
新しいお気に入りを保存するときの新しいエクスペリエンス
新しいお気に入りを保存するときに、お気に入りをディレクトリツリーとして表示できるようになり、[お気に入りに追加]ダイアログボックスからフォルダを折りたたんだり展開したりすることができます。
お気に入りのURLを編集
お気に入りメニューまたはお気に入りバーで任意のお気に入りのURLを編集できるようになりました。これを使用して、移動したサイトの場所を更新したり、ブックマークレットをお気に入りバーに作成したりすることができます。
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エンタープライズのお気に入り管理機能
IT管理者は、グループ ポリシーを定義し、ユーザーのお気に入りに加えて事前構成済みのお気に入りをロックする機能など、モバイル デバイスの管理を介してお気に入りを構成できます。
お気に入りのウェブサイトをタスクバーにピン留め
ユーザーのフィードバックにより、タスクバーとスタートページへのWebサイトのピン留め機能が復活しました。サイトのアイコンを使用して、タスクバーからすぐにお気に入りのサイトにすばやくアクセスできるようにします。使い方は Edgeの設定メニューから「このページをタスクバーに固定する」を選択するだけです。
PDF関連の機能
Microsoft Edge PDFの改善
PDF で [Cortana に質問] にハイライトカラーとオプションを追加しました。
PDFフォームの入力
PDFベースのフォームを記入し、保存して印刷する機能が追加されました。
PDFのアノテーション(注釈)
Webノートアノテーション機能は、Webページだけでなく、PDFでも動作するようになりました。ブラウザフレームの右上にある「Webノートを作成」ボタンを使用して、アノテーションバーを呼び出すことができます。
アノテーションバーで異なるモードを使用すると、PDFにインクを印刷したり、テキストをハイライト表示したり、アノテーションを消去したりできます。後で使用するために、作業状況をPDFファイルに保存することができます。
目次
目次を含むPDF文書の場合、PDFツールバーの左側に目次用の新しいボタンが表示されます。サイドペインの見出しをクリックすると、ドキュメントのその部分に移動します。
より優れた表示とナビゲーション
より読みやすくするためにPDFドキュメントを回転させるコントロールを追加し、1ページから2ページのレイアウトに切り替えたり、長いドキュメントのナビゲーションエクスペリエンスを改善するために、連続したページごとのスクロールの間隔を変更したりします。
EPUBの読書の改善
コピーとCortanaへの質問
テキストを選択すると、コピーやCortanaに質問できるだけでなく、ノートを追加したり、強調表示したり下線を引いたりすることができます。EPUBの本を読んでいる間、Cortanaはユーザーの研究を手助けします。
インクノート
これまで、ノートを追加し、ペンで書き込んだり、描画したりする機能は Webページのみで可能でしたが、EPUBでも可能になりました。
ブックに注釈を付ける
4色でハイライト、下線、およびコメントの追加によってEPUB書籍を注釈を付ける機能を追加しました。開始するには、テキストを選択し、メニューからオプションを選択します。
本をデバイス間でローミング
Windowsストアからの書籍は Windows 10デバイスで間で読み取りの進行状況、ブックマーク、およびメモが同期され保持されます。
ただし、WindowsストアででのEPUB書籍の販売は現在米国のWindowsストアでのみ行われています。
開発者向けの機能
Webプラットフォーム
- Form属性のサポート
- WebAssemblyが既定で有効
- CSS Gridレイアウトのサポート
- High Resolution Time Level 3 のサポート
- 高度なイベントリスナー( “once”と “passive”)のサポートが追加
- CSS object-fit/object-position のサポートが追加
- CSS position: stickyのサポートが追加
- CSS カスタムプロパティ(aka CSS Variables)のサポート
- ES2017Shared MemoryとAtomicsが既定で有効
管理者向けの機能
グループポリシーオブジェクト
Microsoft EdgeにはWindowsドメイン環境下で管理者が設定を一括管理するためのグループポリシーが用意されています。
Windows 10 Fall Creators Updateにより、Microsoft Edgeには、3個の新しいグループポリシーが追加されました。
説明 | 設定 |
Microsoft Edgeに書籍ライブラリを常に表示する | Windows設定の[国または地域] 領域で構成したデバイスの国または地域設定に関係なく、[書籍]タブを表示するかどうかを決定 |
お気に入りのプロビジョニング | ユーザーに表示されるお気に入りの既定のセットを構成できる |
Microsoft Edge上のお気に入りを変更できないようにする | この設定を有効にした場合、ユーザーはお気に入りリストの内容を追加、インポート、または変更できません |
その他、Microsoft Edgeに指定可能な既存のグループポリシー設定については、以下のドキュメントをご参照くださいませ。
その他の進歩
描画性能の向上 – 独立したレンダリング
EdgeHTML 16ではグラフィックス処理を追加のCPUスレッドに選択的にオフロードすることができるため、シルク – スムーズスクロール、応答性の高い対話、fluid アニメーションなど、ユーザーインターフェイス スレッドと全体的な可視パフォーマンス特性ページへの影響を最小限に抑えてレンダリングできます。EdgeHTML 16では、以下の要素を完全にサポートすることで、より多くのサイトで独立したレンダリングが可能になりました。
- <select>コントロール
- <canvas>要素
- 特定の<svg>要素
この改善点の詳細については以下の記事をご覧ください。
Windows Defender Application Guard
昨年9月にMicrosoft Edge Blogで発表されました Windows Defender Application Guard for Microsoft Edge がエンタープライズユーザー向けに利用できるようになりました。
Application Guard上で実行されるMicrosoft Edgeは、Windowsに対するゼロデイ攻撃とマルウェアからの最大レベルの保護を企業に提供します。
また、Application Guardの使用中にMicrosoft Edgeデータの永続性がサポートされました。有効にすると、お気に入り、Cookie、保存されたパスワードなどのデータは、Application Guardセッション全体で保持されます。永続化されたデータはホスト上で共有されたり表示されたりすることはありませんが、将来のMicrosoft Edgeでは Application Guardセッションで使用できるようになります。
まとめ
今回の記事では、Windows 10 Fall Creators Updateに搭載される Microsoft Edge (EdgeHTML16)の新機能について紹介しました。
これら新機能については、Edgeの開発者チームのブログMicrosoft Edge Devでも紹介されていますので、こちらも合わせてご覧ください。
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