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Chrome 55リリース、Windows 10 Creators Updateほか──2016年12月のブラウザ関連ニュース

連載: WEB標準化動向 (20)

月に一度、前の月にリリースされたブラウザに導入された機能を取り上げるこのシリーズも、先ほど振り返ったところ一年ちょっと続いていたのに気づきました。
2017年も地味に更新していこうと思います。よろしくお願いいたします。

Chrome 55リリース

12月1日に、Chrome 55がリリースされました。新機能は、ベータ版が出た際に公開されたエントリにまとめられています。

ECMAScript 2017に導入されるAsync Functionsがサポートされました。導入された async, await というキーワードを使うと、Promiseが関わる非同期処理を同期処理に近いかたちで記述できます。

他のブラウザでもすでに開発版で実装されており、それぞれの開発者向けバージョンでテストできます。Promiseを多用するService Worker内のコードなどは、トランスパイラなしでも利用できますね。

Pointer Eventsも実装されました。Pointer EventsはMicrosoftがW3Cに提出し標準化された、タッチやマウス、ペンなどの入力方式を「ポインタ」としてまとめ扱うイベントです。タッチ+マウスなアプリを作る際に、別々のイベントモデル用のコードを書く手間が省けるのが利点です。

ほか、addEventListener() のオプションに once が加わりました。先月のFirefox 50リリースでも取り上げたもので、一度だけ呼び出されるイベントリスナを設定できます。

Windows 10 Creators UpdateのEdge

ことし2017年リリースのWindows 10 Creators Updateでは、Edgeももちろん更新予定です。あたらしくEdgeHTMLに搭載される機能が、Edgeのブログで少しずつ紹介されてきました。

BrotliはWOFF 2.0で使われている圧縮アルゴリズムですが、HTTPでも利用できます。すでにFirefox, Chromeですでにサポートされていますが、ここにEdgeが加わります。

Payment Request APIは、Chrome 53から実装され始めたAPIで、決済情報入力の煩わしさを解消するAPIです。

Chromeでは今のところAndroid版でしか有効になっていませんが、Edgeではモバイル・デスクトップ両方で有効になるようです。Firefoxも実装を表明しています。

ほか、EdgeHTML 15で導入されるかはわかりませんが、Platform Statusページで開発中・プレビュー版にある機能の一覧を見ると、Service Workerやその関連API、CSS Custom Properties (Variables)などが並んでいます。これらのアナウンスもあるとうれしいですね。

2017年はFlashの実行に許可が求められる

2017年は、多くのベンダーがFlashの自動実行をやめることを宣言しています。12月は、Chrome, EdgeでのFlashの扱いについて、現状や今後の計画が改めて発表されました。

ChromeはChrome 56より、ページのFlashの実行には基本的に許可を求めるようになります。ただし、それまでアクセスしたページなど、関わり度合いの高いページについては、許可を求められる時期が遅れます。2017年10月からは、新規アクセスしたページのFlashコンテンツについては、許可を求められます。

Edgeについても、Creators Update以降は基本的に許可が必要になります。ただしChromeと似たようなかたちで、初期はFlashのリソース消費度合いを元に例外を設けるようです。あるていど後に、こちらも許可を求めるようになるそうです。

Firefoxも、2017年から許可を設けるとすでに発表しています。

Safariについては、けっこう前のバージョンからFlash Playerが搭載されていません。なのでまずインストールが必要というところですでにある程度ブロックされていると思うのですが、Safari 10からはインストールされていたとしても実行にはユーザーの許可が必要になりました。

Flashを使うコンテンツも少なくなってきましたが、デフォルトでブロックされるようになると、新規に作るサービスではさらに採用が減りそうですね。