<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?><rss version="2.0"
	xmlns:content="http://purl.org/rss/1.0/modules/content/"
	xmlns:wfw="http://wellformedweb.org/CommentAPI/"
	xmlns:dc="http://purl.org/dc/elements/1.1/"
	xmlns:atom="http://www.w3.org/2005/Atom"
	xmlns:sy="http://purl.org/rss/1.0/modules/syndication/"
	xmlns:slash="http://purl.org/rss/1.0/modules/slash/"
	xmlns:series="http://organizeseries.com/"
	>

<channel>
	<title>Experts Opinions 「UX」 &#8211; HTML5Experts.jp</title>
	<atom:link href="/series/opinions-ux/feed/" rel="self" type="application/rss+xml" />
	<link>https://html5experts.jp</link>
	<description>日本に、もっとエキスパートを。</description>
	<lastBuildDate>Sat, 07 Jul 2018 03:14:05 +0000</lastBuildDate>
	<language>ja</language>
	<sy:updatePeriod>hourly</sy:updatePeriod>
	<sy:updateFrequency>1</sy:updateFrequency>
	<generator>https://wordpress.org/?v=4.7.19</generator>
	<item>
		<title>面白法人カヤックに「UX」というテーマをぶつけていろいろ聞いてみました</title>
		<link>/shumpei-shiraishi/12171/</link>
		<pubDate>Fri, 09 Jan 2015 00:00:04 +0000</pubDate>
		<dc:creator><![CDATA[白石 俊平]]></dc:creator>
				<category><![CDATA[デザイン]]></category>
		<category><![CDATA[サイト制作]]></category>
		<category><![CDATA[UX]]></category>
		<category><![CDATA[カヤック]]></category>

		<guid isPermaLink="false">/?p=12171</guid>
		<description><![CDATA[連載： Experts Opinions 「UX」 (6)HTML5 Experts.jpが誇るエキスパートたちに、「UX」というテーマでインタビューするシリーズ、いよいよ最終回です。 今回は、面白法人カヤックでHTML...]]></description>
				<content:encoded><![CDATA[<div class="seriesmeta">連載： <a href="https://html5experts.jp/series/opinions-ux/" class="series-223" title="Experts Opinions 「UX」" data-wpel-link="internal">Experts Opinions 「UX」</a> (6)</div><p>HTML5 Experts.jpが誇るエキスパートたちに、「UX」というテーマでインタビューするシリーズ、いよいよ最終回です。</p>

<p>今回は、面白法人カヤックでHTML5を使ってバリバリ仕事をしていらっしゃる田島真悟さんと君塚史高さんに、いろいろとお話を聞いてきました。
カヤックさんに聞いてみたかったテーマは主に二つあります。</p>

<ul>
<li>技術力に定評のあるカヤックさんが、HTML5やJavaScriptとUXについてどう考えているのか？</li>
<li>一見自由が利きそうにない「受託開発」という形態の中で、いかにUXを追求しているか？</li>
</ul>

<p>ではどうぞ、お楽しみください！</p>

<h2>クライアントのニーズを掘り下げると「体験」に行き着く</h2>

<p><br>
<b>白石: </b> 今回は、HTML5を普段からお仕事で活用していらっしゃるお二人に、UXというテーマでいろいろお話をお聞きしたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。
<br><br>
<b>田島＆君塚</b>: よろしくお願いします。
<br><br>
<b>白石: </b> 皆さんは、普段どんなお仕事をされているのですか？
<br><br>
<b>田島: </b> 私たちはクライアントワークを行うチームで、普段は受託開発をしています。企業のお客様から依頼を受けて、キャンペーンサイトを作るお仕事が多いですね。
<br><br>
<b>君塚:</b> 私も田島と同じチームで働いています。あと、弊社にはHTMLファイ部という部署がありまして、私はそこのリーダーを務めています。</p>

<div id="attachment_12173" style="width: 650px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://html5experts.jp/wp-content/uploads/2015/01/DSC07879.jpg" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer"><img src="/wp-content/uploads/2015/01/DSC07879.jpg" alt="田島真悟さん" width="640" height="426" class="size-full wp-image-12173" srcset="/wp-content/uploads/2015/01/DSC07879.jpg 640w, /wp-content/uploads/2015/01/DSC07879-300x199.jpg 300w, /wp-content/uploads/2015/01/DSC07879-207x137.jpg 207w" sizes="(max-width: 640px) 100vw, 640px" /></a><p class="wp-caption-text">田島真悟さん</p></div>

<p><div id="attachment_12174" style="width: 650px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://html5experts.jp/wp-content/uploads/2015/01/DSC07886.jpg" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer"><img src="/wp-content/uploads/2015/01/DSC07886.jpg" alt="君塚史高さん" width="640" height="425" class="size-full wp-image-12174" srcset="/wp-content/uploads/2015/01/DSC07886.jpg 640w, /wp-content/uploads/2015/01/DSC07886-300x199.jpg 300w, /wp-content/uploads/2015/01/DSC07886-207x137.jpg 207w" sizes="(max-width: 640px) 100vw, 640px" /></a><p class="wp-caption-text">君塚史高さん</p></div>
<br>
<b>白石: </b> 皆さんはやっぱりWebの制作が中心？
<br><br>
<b>君塚:</b> はい、Webを採用することは多いですし、うちのチームの人間はみんなHTML5やJavaScriptは得意ですね。とはいえ、普段私たちが仕事を行うときは、「Web技術 (HTML5) しか使わない」と決めてかかることはありません。あくまで、お客様のご要望を満たすための一つの手段として位置づけてますね。
<br><br>
<b>白石: </b> おお、そうなんですね。じゃあ、iOSやAndroidのネイティブアプリを作ることもある？
<br><br>
<b>君塚:</b> はい、そのとおりです。ぼくらは確かにWeb/HTML5を使うことが多いですが、これはFlashじゃないとできないとか、これはアプリじゃないとできないとかそういうことがあれば、そういう技術を使うことも普通にあります。「アプリかWebか」については、それぞれ長所と短所があるので、お客様のご要望に合わせて最適な手段を選ぶようにしています。
<br><br>
<b>白石: </b> カヤックさんが考えるアプリとWebの長所と短所、めちゃくちゃ興味あります！<br>それについてはあとで詳しく聞くとして、手段としての技術を選ぶ際の大きな指針みたいなものはありますか？選択肢は数多くあると思うんですが。
<br><br>
<b>田島: </b> 私達がそうした手段を選ぶ際に重視しているのは、今回のインタビューの趣旨そのままですが、やはりUXですね。というのは、私たちのクライアントのニーズを掘り下げていくと、結局のところユーザーに「体験」をもたらしたい…というところに行きつくんですね。面白いとか、驚きとか、商品のイメージを仮想体験させたいとか。
<br><br>
そういう体験をもたらすのに最適な手段はなにか…と考えていくと、時にWebであったり、時にネイティブアプリだったりするわけです。お客様が目指すユーザー体験が、Webやモバイルで完結しない場合すらあります。そういう時は、例えばリアルなイベントをトータルプロデュースすることもありますよ。
<br><br>
<b>白石: </b> そういえば以前<a href="https://html5experts.jp/edo_m18/991/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer">HTML5 Experts.jpでも御社の比留間さんに記事を書いていただいた、RAIZIN Cool</a>も、体験という点から見ても面白いですね。HTML5のCanvasを使って、エナジードリンクの周りに「冷気」を表現することで、冷たさを体感させるような演出になっていましたね（現在、RAIZIN Coolのキャンペーンサイトは閉じられています）。</p>

<p>(invalid jsdo.it code)
<br><br>
<b>君塚:</b> RAIZIN Coolは、もともとRAIZINというエナジードリンクの「クール」版を発売する際に、「クールさ」を表現したいというご要望があったんですね。そのご要望を満たすためにどうしたらよいかを考えて、結局HTML5のCanvasを使用しました。ついでに言うと、技術的にもクールでしょ、と(笑) 。実際に技術的な部分が評価されて、海外でも話題になったのはうれしかったですね。</p>

<h2>「絞り込み」こそ、とがったユーザー体験のカギ</h2>

<p><br>
<b>白石: </b> 体験という観点から、他に面白い事例とかありますか？
<br><br>
<b>田島: </b> 「<a href="http://kyuso-goods.tumblr.com/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer">キュウソネコカミ グッズでんたく</a>」は、ユーザー体験という点では面白いんじゃないかと思います。これは、キュウソネコカミというバンドのライブイベント向けに開発したWebアプリです。どんなアプリかというと、ライブのグッズ売り場で並んでいる時に暇つぶしをしてもらうためのアプリですね。「電卓」という名前からも分かる通り、グッズを選んでいくと、事前にいくらお金がかかるのかわかるというサイトです。</p>

<p><div id="attachment_12177" style="width: 280px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://html5experts.jp/wp-content/uploads/2015/01/kyuso-goods1.png" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer"><img src="/wp-content/uploads/2015/01/kyuso-goods1.png" alt="キュウソネコカミ グッズでんたく" width="270" height="480" class="size-full wp-image-12177" srcset="/wp-content/uploads/2015/01/kyuso-goods1.png 270w, /wp-content/uploads/2015/01/kyuso-goods1-168x300.png 168w, /wp-content/uploads/2015/01/kyuso-goods1-116x207.png 116w" sizes="(max-width: 270px) 100vw, 270px" /></a><p class="wp-caption-text">キュウソネコカミ グッズでんたく</p></div>
<br><br>
最近はCDも余り売れなくなっているなかで、ライブの重要性、体験の重要性がよく指摘されます。でも、ライブのアイテム売り場ってずっと列に並んでいなくてはならず、そのユーザー体験がよくない。そこをどうにかするために作ったのがこのアプリです。
<br><br>
<b>白石: </b> 「行列している」時のユーザー体験を改善するって、面白い発想ですね。
<br><br>
<b>田島: </b> はい、そこから発想して試行錯誤した結果、今の形になりました。
<br><br>
列に並んだ状態では、長い文章はなかなか読まれないだろう。だったら大きな絵がドドンとあった方がいい。また、既にユーザーはグッズ売り場にいるのだから、買うのはその場でできる。だからEC的な機能は必要ない。
<br><br>
そんな風に考えて、どんどん情報を引き算していった結果、結局グッズの写真だけが残りました。
<br><br>
<b>白石: </b> 「引き算」ってよく言われますが、実際にやろうとすると難しいですよねえ。どうしても、あれもこれもと便利な機能を付け加えたくなっちゃう。
<br><br>
<b>田島: </b> そうなんですよね。情報を引き算して、とがったコンセプトを生み出すには、ユーザー像やシチュエーションを絞り込むことが重要だと思います。
企画って、「いつ」「どこで」「誰が」使うものなのかといったイメージを絞り込めば絞り込むほど面白く、とがったものになる。
<br><br>
このアプリは、ファンじゃない人が普段使っても別に面白くはありませんが、ファンがライブ会場で並んでいるときは面白がってもらえる。
公式キャラクターの「ネズミくん」が、選んだアイテムに関して一言つぶやくようなインターフェースも作ったのですが、これもすごく好評でした。でもこの面白さって、ファン以外にはなかなかわかりにくいですよね。</p>

<p><div id="attachment_12192" style="width: 280px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://html5experts.jp/wp-content/uploads/2015/01/2015-01-07-15.24.44.png" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer"><img src="/wp-content/uploads/2015/01/2015-01-07-15.24.44.png" alt="公式キャラクターの「ネズミくん」が、選んだアイテムに関して一言つぶやく" width="270" height="480" class="size-full wp-image-12192" srcset="/wp-content/uploads/2015/01/2015-01-07-15.24.44.png 270w, /wp-content/uploads/2015/01/2015-01-07-15.24.44-168x300.png 168w, /wp-content/uploads/2015/01/2015-01-07-15.24.44-116x207.png 116w" sizes="(max-width: 270px) 100vw, 270px" /></a><p class="wp-caption-text">公式キャラクターの「ネズミくん」が、選んだアイテムに関して一言つぶやく</p></div>
<br><br>
でも、心から面白がっている人がTwitterなどでその体験をシェアすると、その場にいない人たちにも面白さが伝わって、さらに拡散されるんですね。おかげさまで、結構話題になりました。
<br><br>
<b>白石: </b> なるほど…勉強になります。しかし、実際に面白がってもらえるかどうかの検証ってどうやったんですか？ユーザーやシチュエーションを限定すればするほど、ハイコンテキストなものが求められるようになって、それが実際にユーザーの心に「刺さる」かどうかが、外からだと判断しにくい気もしますが。
<br><br>
<b>君塚:</b> そこに関しては今回運が良くて、制作メンバーの中にキュウソネコカミの大ファンがいたんですよ。そいつが面白いといえば面白いだろう、という目算がありました。ペルソナと一緒に仕事をしているようなもので、非常にラッキーでしたね。</p>

<h2>Webアプリとネイティブアプリ、その長所と短所</h2>

<p><br>
<b>白石: </b> 今の事例は、Webじゃなくてスマホアプリであっても成立しそうな事例ですよね。インストールのひと手間はかかっちゃうでしょうけども。何か、「Webならでは」の事例ってありますか？先ほどおっしゃっていた、Webとアプリの長所と短所という点について掘り下げて聞いてみたいんですが。
<br><br>
<b>田島: </b> 以前ドミノ・ピザ様向けに「世界最短のタイムセール」というキャンペーンアプリを作らせていただいたことがあります。どんなアプリかというと、「時・分・秒・0.1秒」の数字が全部揃った時にタイミングよくボタンを押すと、ピザが半額で買えるというFacebookアプリです。チャンスは1時間に1回、0.1秒しかありません。</p>

<p><div id="attachment_12176" style="width: 650px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://html5experts.jp/wp-content/uploads/2015/01/DSC07959.jpg" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer"><img src="/wp-content/uploads/2015/01/DSC07959.jpg" alt="世界最短のタイムセール" width="640" height="425" class="size-full wp-image-12176" srcset="/wp-content/uploads/2015/01/DSC07959.jpg 640w, /wp-content/uploads/2015/01/DSC07959-300x199.jpg 300w, /wp-content/uploads/2015/01/DSC07959-207x137.jpg 207w" sizes="(max-width: 640px) 100vw, 640px" /></a><p class="wp-caption-text">世界最短のタイムセール</p></div>
<br><br>
こちらはとても「Web的」な事例だと思います。アプリというのはダウンロードして、インストールする必要がありますよね。つまり、既に興味を持っている人が対象になるということ。
<br><br>
しかしWebは、興味がない人が見る可能性が大きいし、そういう人を巻き込めるという利点がある。ただしそのためには、目を引くビジュアルやガツンとくるキャッチコピーなど、第一印象で勝負する必要があります。
<br><br>
<b>田島: </b> このアプリで遊ぶと、そのことがTwitterやFacebookに拡散されるような作りにしたので、公開当初からかなり話題になりました。
ピザを食べたい人や面白がってくれる人は、何度も来て遊んでくれましたし、ピザを食べたいと思っていない人も、当たれば半額なのでやってもいいかな、という気になってくれる。結構売上にも貢献できたと聞いています。
<br><br>
<b>君塚:</b> 先ほどの事例（キュウソネコカミ）は、「いつ、誰が、どこで見るのか」が限定されていました。こちらは全く逆で、いつどこで誰が見るか全く決まっていない。そういうシチュエーションであっても対応できるというのはWebの強みですね。Webブラウザさえあれば、アプリのインストール作業は不要という利点も最大限活かすことができると思います。</p>

<h2>「受託開発だけどUXに妥協しない」ための仕事術</h2>

<p><br>
<b>白石: </b> 以前長谷川さんや木達さんにインタビューした際に、「受託という仕事の形態だと、作り手がユーザー体験をコントロールできる範囲はどうしても限られてしまう」という議論がありまして。一方でカヤックさんは先程からお話をお聞きしていると、受託開発をしつつも「体験」には妥協していないように思えます。どのような仕事の進め方をされているのでしょう？
<br><br>
<b>田島: </b> まずお客様からご要望をいただいたら、それを満たす手段を検討するためにブレインストーミングを実施します。弊社はブレストを非常に重視していまして、そのブレストにはデザイナーやエンジニアも参加します。技術的な知見がないと出せないアイデアもありますし、新しい技術を積極的に活用していくためにも、デザイナーやエンジニアと一緒にブレストするのは非常に大事ですね。
<br><br>
以降は、そんなに変わったところはないと思いますよ。ディレクターがワイヤフレームを作って、デザイナーがデザインカンプを起こす。そうしてお客様と仕様を詰めていって、その後サーバサイドエンジニアとフロントエンドエンジニアが共同で実装にあたる…という流れです。
<br><br>
<b>白石: </b> そういう「仕様が固まってない」状態からの提案・開発となると、お客様からの仕様変更とかも多いんじゃないでしょうか。開発のスピード感はどうやって出しているんでしょう？
<br><br>
<b>田島: </b> うーん…うちらは、普段から結構短納期の仕事をよくこなしているので、普段から鍛えられている、っていうのはあると思いますね。
<br><br>
<b>君塚:</b> 一言で言うと「頑張る」(笑)。</p>

<p><a href="https://html5experts.jp/wp-content/uploads/2015/01/DSC07930.jpg" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer"><img src="/wp-content/uploads/2015/01/DSC07930.jpg" alt="田島さん＆君塚さん" width="640" height="425" class="aligncenter size-full wp-image-12175" srcset="/wp-content/uploads/2015/01/DSC07930.jpg 640w, /wp-content/uploads/2015/01/DSC07930-300x199.jpg 300w, /wp-content/uploads/2015/01/DSC07930-207x137.jpg 207w" sizes="(max-width: 640px) 100vw, 640px" /></a>
<br><br>
<b>君塚:</b> とはいえ、仕様変更を「前提」として考えているという態度を徹底しているのは、大きいかもしれません。限られた期間、予算の中でできる限りお客様の要望の変化に追随していく。それを続けていくと、勘も養われてくるんですよね。仕様が変わりそうなところ、そしてもっと大事なのは、仕様が変わらなそうなところがどこか…というのがわかってくる。
<br><br>
そういう「固い」部分って、プロジェクトが違っても共通している部分がある。繰り返すごとに、再利用できるコードも増えてくるわけですね。以前使ったコードを組み合わせて作る…ということで、もっと早くなる。また、仕様が変わりそうなところのあたりがつくと、あとから変わってもいいように作っておく。そういう積み重ねがあるおかげで、<strong>仕様変更自体は多いけど、無駄な作業があまりない</strong>という状況が作れているんだと思います。
<br><br>
<b>白石: </b> なるほど。こうしてお話をお聞きしていると「作り手であるカヤックさんの裁量が大きい」ということが感じられるんですよね。カヤックさんの中でブレストして提案していくっていうのは、結局のところ作るものを自分たちで企画しているということですよね。それってよく考えると、「お客様のご要望に従って作る」という受託開発のイメージとは、逆と言ってもいいかもしれない。
<br><br>
<b>君塚:</b> そうですね、「言われたとおりに作れ」っていう「プリンター」みたいな仕事は、ごく稀にしかないです。クライアントさんと一緒に作り上げていく…という感覚の仕事が多いですね。
<br><br>
<b>白石: </b> ぼくもカヤックさんとお仕事させていただいてます（※HTML5 Experts.jpのサイトはカヤックさんが制作）が、「面白法人」に向かって「プリンター仕事」発注する気にはなかなかならないですしね(笑) 。企業としてのブランディングが確立しているというところも、要因の一つかもしれませんね。<br />
<br>
ただ、営業の時点でお客さんとの上下関係ができちゃっていたり、契約上作り手に自由度が全くなかったり…ということはないんでしょうか？ぼくも以前受託案件を生業にしていましたが、作り手の自由度って、そういう「立場」「力関係」や「契約」と言った、開発以外の部分に相当縛られると感じています。
<br><br>
<b>君塚:</b> 弊社には営業専門の社員はいなくて、ディレクターの繋がりでお仕事をいただくことが多いので、そもそもそういう問題が起きにくいというところはあるのかもしれません。ただぼくは前職で飛び込み営業やってた経験がありまして、その経験を踏まえてお答えするのですが、うちの会社は<strong>コミュニケーションに裏表がない</strong>なあ、とは思いますね。
<br><br>
例えば、デザイナーやエンジニアなどの作り手が、お客さんに伝えたいことがあったとします。その仕様変更は受けるのが難しいとか、より良いアイデアとか、なんでもいいんですが。そういう現場の意見を、間に入っている営業が「お客さんとの関係がこじれると面倒だから」とか、そういう理由で握りつぶしたりしてしまうことがあるんですね。
<br><br>
この会社（カヤック）にはそれがないなあ、と。基本的に、ディレクターはお客さんに何もかも正直に伝えるんです。例え面倒な話だったとしても、その時点で「正しい」と思ったことは正直に伝える。それが通らなかったなら、相応の理由があるわけだし、その理由を聞いて現場も納得する。こういう、<strong>みんな正直で正しいことが通りやすい、駆け引きのないコミュニケーションを行う文化が、結局はフラットで対等な関係を生んでいる</strong>んじゃないかなあ…と思いました。
<br><br>
<b>白石: </b> なるほど。率直なコミュニケーションと鍛えあげられた現場力が、クライアントとの対等な関係を生み、それがユーザーにとっての最高の体験を追求できる環境づくりに繋がっている…とまとめさせていただいて、本日のインタビューは終わりにしたいと思います。
<br><br>
長い時間のインタビューにお付き合いいただき、本当にありがとうございました！</p>
]]></content:encoded>
		
		<series:name><![CDATA[Experts Opinions 「UX」]]></series:name>
	</item>
		<item>
		<title>「エンタープライズとUX」ってテーマをふっかけたらめちゃくちゃ濃くて面白かった ─齋藤善寛＆新谷剛史ロングインタビュー</title>
		<link>/shumpei-shiraishi/11938/</link>
		<pubDate>Thu, 25 Dec 2014 04:00:55 +0000</pubDate>
		<dc:creator><![CDATA[白石 俊平]]></dc:creator>
				<category><![CDATA[デザイン]]></category>
		<category><![CDATA[システム開発]]></category>
		<category><![CDATA[BYOD]]></category>
		<category><![CDATA[UX]]></category>
		<category><![CDATA[エンタープライズ]]></category>
		<category><![CDATA[コンシューマライゼーション]]></category>
		<category><![CDATA[モバイルオンリー]]></category>
		<category><![CDATA[モバイルファースト]]></category>

		<guid isPermaLink="false">/?p=11938</guid>
		<description><![CDATA[連載： Experts Opinions 「UX」 (5)HTML5 Experts.jpが誇るエキスパートたちに、「UX」というテーマでインタビューするシリーズ第五弾です。 ぼくも昔はSIerの孫請けとして、エンタープ...]]></description>
				<content:encoded><![CDATA[<div class="seriesmeta">連載： <a href="https://html5experts.jp/series/opinions-ux/" class="series-223" title="Experts Opinions 「UX」" data-wpel-link="internal">Experts Opinions 「UX」</a> (5)</div><p>HTML5 Experts.jpが誇るエキスパートたちに、「UX」というテーマでインタビューするシリーズ第五弾です。</p>

<p>ぼくも昔はSIerの孫請けとして、エンタープライズ業界の片隅で働いていたので、エンタープライズというキーワードにはつい反応してしまいます。とはいえ、今のエンタープライズ業界がどういう状況かはよく知らないのですが、UXに関する特集を行うにあたっては、「エンタープライズとUX」というテーマで必ず誰かに話を聞きたいと考えていました。</p>

<p>そこで<a href="http://www.2ndfactory.com/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer">株式会社セカンドファクトリー</a>の新谷剛史さんに、このテーマをぶつけてみたところ、取締役副社長 シニアUXストラテジストの齋藤善寛さんも参戦し、めちゃくちゃテンションが高くて密度の濃いインタビューになりました。
今回、「(笑)」が多いのは（主に齋藤さんの）テンションの高さの表れだと思ってください。</p>

<p>エンタープライズとUXについて、ここまで濃くてぶっちゃけ気味のトークはなかなかないんじゃないかな、と自負しております。では皆さんどうぞ、今回もお楽しみください！</p>

<p><img src="/wp-content/uploads/2014/12/UXE1.jpg" alt="" width="640" height="444" class="alignnone size-full wp-image-11952" srcset="/wp-content/uploads/2014/12/UXE1.jpg 640w, /wp-content/uploads/2014/12/UXE1-300x208.jpg 300w, /wp-content/uploads/2014/12/UXE1-207x143.jpg 207w" sizes="(max-width: 640px) 100vw, 640px" /><span style="font-size: 80%;">　　▲左から、株式会社セカンドファクトリー 新谷剛史さん、同・取締役副社長 シニアUXストラテジスト 齋藤善寛さん</span></p>

<h2>エンタープライズシステムはネガティブな宿命を背負っている？</h2>

<p><br>
<b>白石:</b> では、本日はよろしくお願いします。まず最初にお聞きしたいんですが、「エンタープライズ」という言葉をどのように捉えていらっしゃいますか？</p>

<p><img src="/wp-content/uploads/2014/12/UXE2.jpg" alt="" width="640" height="424" class="alignnone size-full wp-image-11953" srcset="/wp-content/uploads/2014/12/UXE2.jpg 640w, /wp-content/uploads/2014/12/UXE2-300x198.jpg 300w, /wp-content/uploads/2014/12/UXE2-207x137.jpg 207w" sizes="(max-width: 640px) 100vw, 640px" /><span style="font-size: 80%;">　　▲インタビュアーHTML5 Experts.jp 白石俊平編集長</span>
<br><br>
<b>齋藤:</b> エンタープライズというと、一般的には業務用アプリってことなんでしょうけど、私たちの会社としてはあんまりそこをハッキリ定義してはいないですね。というのも、私たちはエンタープライズに特化した企業というわけではないんです。システムと人間が接するところに新たな価値を生み出せないか、そういうことをずっとやっている。
<br><br>
<b>新谷:</b> 私たちはデザインとエンジニアリングの両輪を回しつつ、ビジネス的な価値を創造することにはすごくこだわってる会社です。それが、私たちが「エンタープライズ系企業」と見なされがちな理由かもしれません。
<br><br>
<b>齋藤:</b> 確かにFlashの仕事を中心にしていた頃から、「エンタープライズ」と呼ばれる領域の仕事はやってきていますね。出退勤のシステムや、社内のアラートシステムをFlashで構築したり。それらの経験を踏まえつつ、あえてエンタープライズとは何かと言えば、「働く」という環境において利用されるものということでしょうね。「働く」という環境においては、人を働かそう、動かそうとするエネルギーがある。<br>それに対して、時には「動きたくない」と反発するエネルギーもあったり…って、こんなんで伝わります？(笑)。</p>

<p><img src="/wp-content/uploads/2014/12/UXE3.jpg" alt="" width="640" height="427" class="alignnone size-full wp-image-11954" srcset="/wp-content/uploads/2014/12/UXE3.jpg 640w, /wp-content/uploads/2014/12/UXE3-300x200.jpg 300w, /wp-content/uploads/2014/12/UXE3-207x138.jpg 207w" sizes="(max-width: 640px) 100vw, 640px" />
<br><br>
<b>白石:</b> はい、大丈夫です、伝わってます(笑)。
<br><br>
<b>齋藤:</b> ってことで、業務で使用するアプリって、どうしても「（会社から）使わされる」という感覚が付きものだと思うんです。勤怠管理システムとかは、使わざるを得ないでしょ。それに、企業は何かと「管理したい」という欲望を抱いてしまいがちですが、それを形として表したものが業務アプリだったりもするわけです。つまりエンタープライズシステムっていうのは、最初からユーザーである従業員からネガティブな印象を持たれがちなもの、そういう宿命を背負っているシステムなんですよ(笑)。
<br><br>
<b>白石:</b> なるほど(笑)。ではお二人は、そのネガティブさをどうにか乗り越えて、価値を生み出すよう改善していく…っていうお仕事をされているってわけですね。それがエンタープライズにおけるUXを改善していくってところに繋がりそうですね。</p>

<h2>エンタープライズアプリにUXが必要な理由</h2>

<p><br>
<b>齋藤:</b> 先程も申し上げたように、ぼくらは「エンタープライズかどうか」というところにはあまりこだわってはいないつもりです。ただ、UXには非常にこだわっている。例えば「エンターテインメント」であっても、「働く」ということであっても、人と情報が交錯する地点というのは必ずあり、そこにはUXが存在します。
<br><br>
<b>白石:</b> 「働く」という行為についてもUXがあるというわけですね。言われてみると当たり前ですが、気づいてませんでした。
<br><br>
<b>齋藤:</b> その通りです。だから、エンタープライズアプリのUXについて考えることは、「オフィスの椅子や机をどうするか」と言った、オフィスデザインを考えるのと本質的には変わらないわけです。
<br><br>
<b>白石:</b> なるほど。そういう捉え方は新鮮です。じゃ、オフィスデザインに真剣に取り組むような企業は、「働く」ということのUXを真剣に捉えていると言ってもいいわけですね。
<br><br>
<b>齋藤:</b> そうそう。そういう企業は、「働く」という体験を改善することにすごく前向きです。ならば当然、日々使うアプリとかも改善の対象になりますよね。職場のUXが改善されることで、職場がエネルギッシュになったりコラボレーティブになったりするなら、素晴らしいことじゃないですか。ちなみに私たちも、オフィスデザインには相当こだわってますよ。
<br><br>
<b>白石:</b> そうした、自社内のUX改善に投資する企業というのは増えてきてますか？</p>

<p><img src="/wp-content/uploads/2014/12/UXE4.jpg" alt="" width="640" height="398" class="alignnone size-full wp-image-11957" srcset="/wp-content/uploads/2014/12/UXE4.jpg 640w, /wp-content/uploads/2014/12/UXE4-300x186.jpg 300w, /wp-content/uploads/2014/12/UXE4-207x128.jpg 207w" sizes="(max-width: 640px) 100vw, 640px" />
<br><br>
<b>齋藤:</b> 増えてきてる、と言っていいと思います。例えばBYOD（Bring Your Own Device: 個人デバイスの職場利用）なんかも、UX改善の文脈から語ることができます。使い慣れない／使いにくい端末を会社が押し付けるんじゃなくて、従業員が普段から使って慣れ親しんでいるスマートフォンやタブレットをそのまま業務用端末として使おう、という流れですね。
<br><br>
<b>新谷:</b> そういう流れの中で、エンタープライズの世界もモバイル中心になりつつありますね。今の若い人なんて、「PC持ってないけどスマホ・タブレットなら持っている」という人はザラにいるわけですから。いまだに「PC向けのWebアプリをスマホやタブレットに対応させる」という発想でシステム開発している場合がありますが、その発想はもう古いと言っていいと思います。「スマホ・タブレットで使えるものが、たまたまPCでも使える」という感覚に変えていかないと。
<br><br>
<b>白石:</b> モバイルファーストとか、今じゃモバイルオンリーなんて言葉も出てきてますもんね。
<br><br>
<b>齋藤:</b> こうしてBYODが進んでいくことで、個人のデバイスが「業務用端末」にもなっちゃうわけです。いわば業務時間はどんどん広がってきていると言ってもいいですよね。
<br><br>
そう、そして触れる時間が長ければ長いほど、UXも重要。だから、UXが磨かれたコンシューマー向けアプリを仕事に使うシーンもどんどん増えているんだと思います。FacebookやLINEで仕事のやりとりをするのとかも、珍しいことではなくなりました。こういう消費者向け製品を業務用に使うという流れのことを、<a href="http://en.wikipedia.org/wiki/Consumerization" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer">コンシューマライゼーション(Consumerization of IT)</a>と言ったりしますね。
<br><br>
今や、消費者向け製品のほうが進化が速いんですよね。以前は「企業が使っているものが安くなって、そのうち一般消費者が使うようになる」って感じだったのに、今はそれが逆になっちゃっている。例えばKinectみたいなものも今は1万数千円で買えるけど、昔ぼくらがああいうのを使ってアプリを作っていた頃は100万円くらいしていたんです。コンシューマー向け製品を使って企業が安価にモノを作る。そういう時代ですね。ここでも、発想を逆にしないといけない。</p>

<h2>「エンタープライズアプリにUXは必要ない。だって『慣れる』から」という考えについて</h2>

<p><br>
<b>白石:</b> エンタープライズとUXというテーマで以前新谷さんとお話した時、「慣れる」というキーワードがありましたね。「最初は使いにくくても、使っているうちに慣れるから大丈夫」という考えがエンタープライズには根強い…というお話だったかと思いますが。
<br><br>
<b>齋藤:</b> その意見については、「何をおっしゃる！」…って感じですね(笑)。「慣れ」を考慮してUXの設計をするのと、「慣れ」を逃げ道にしてUXの設計を怠るのは、似ているようで全然違います。前者は熟練者への配慮。「初心者にやさしい」は、熟練者にとってはまだるっこしかったりしますからね。でも、後者はただの怠慢。ユーザの慣れを理由にして、UX改善の努力を放棄してはいけません！</p>

<p><br><br>
「慣れ」を逃げの理由にしてはならない理由の一つに、まずは大きな話として、働き方の変化があると思います。派遣の方に来ていただいたり、いろんな企業を渡り歩いたりっていう働き方が普通になってきていて、一つの会社に腰を落ち着けて業務アプリにじっくり慣れる…っていう状況じゃなくなってきてるんですよ。</p>

<p><img src="/wp-content/uploads/2014/12/UXE6.jpg" alt="" width="640" height="428" class="alignnone size-full wp-image-11955" srcset="/wp-content/uploads/2014/12/UXE6.jpg 640w, /wp-content/uploads/2014/12/UXE6-300x200.jpg 300w, /wp-content/uploads/2014/12/UXE6-207x138.jpg 207w" sizes="(max-width: 640px) 100vw, 640px" />
<br><br>
<b>齋藤:</b> それに、使うこと自体に「慣れる」ことはできるかもしれないけど、だからといって気持ちよく使えるようになるわけじゃないですよね。最初に触って「嫌だ」と思ってしまったら、その印象はずっとついて回るし、それが毎日のことになるとなると、働くモチベーションにも影響するでしょう。毎日アプリの使い勝手にイライラしつつ、出退勤の申請業務とかに時間取られちゃうっていうのは、バカにならないコストだと思いませんか？
<br><br>
<b>白石:</b> なるほど、言われてみればその通りです。それでも「慣れ」の話が付いて回るのは、結局のところUXへの姿勢の違いが現れる部分なのかもしれませんね。例えば、「リモートデスクトップをモバイル機器から使えるようにしとけばとりあえず事足りるだろう」みたいな。
<br><br>
<b>新谷:</b> ああ、そういう企業いっぱいありますね(笑) 。従業員にiPad渡したと言いつつ、従業員の皆さんはiPadでWindows XPの画面見てるとか。おっと、XPって言っちゃ怒られちゃうか…(笑)。
<br><br>
<b>齋藤:</b> ただですね、企業がとにかく何かしようとしている。そのことについては、肯定的に捉えるべきだと思うんです。「iPadでPCの画面を見る」のだって、機能は満たしている。ただそこに「UXがなかった」ということです。<br></p>

<h2>なぜエンタープライズのUXはコンシューマー向けに比べて遅れているのだろう</h2>

<p><br>
<b>白石:</b> コンシューマー向けのWebサイトやアプリのUXは、この数年で本当に良くなってきましたよね。それは、言ってしまえばUXがサービスの売上に少なからず影響を与える…という意識が根付いたからだと思うんです。エンタープライズにおいては、そういう意識の変化は出てきていますか？例えば、「UXが業務の生産性を上げる」とか。
<br><br>
<b>新谷:</b> エンタープライズだと、UXの改善がもたらす影響についてのわかりやすい指標があまりないので、どうしても投資の優先度が落ちちゃうんですよね。UXの改善が、わかりやすく結果に結びつくといいんですけど。「オフィスデザインにこだわったらメディアに取り上げられた」みたいな、「褒められた」という経験でもいい。
<br><br>
<b>齋藤:</b> UX改善の結果がわかりやすいっていう話でいうと、パソナさんの事例があります。これ事例として紹介してくれていいと言われてるんですけど、システムに対して年間3,000件の問い合わせがあったのが、ぼくらが手を入れたあとはゼロになったんです。
<br><br>
<b>白石:</b> それはすごい！そのことによって削減される問い合わせコストもバカにならなそう。
<br><br>
<b>齋藤:</b> そうでしょう？何をしたかっていうと、よくある問い合わせを全部UIに仕込んじゃったんです(笑)。
<br><br>
<b>白石:</b> それはわかりやすい話ですね(笑)。
<br><br>
<b>齋藤:</b> 問い合わせの結果を分析して、「次に何をしたらいいかをわかりやすく記述する」とか、「エラーメッセージをわかりやすくする」とか、そういう努力を積み重ねた感じですね。</p>

<h2>「UX的にイケてる」エンタープライズアプリって、どんな感じ？</h2>

<p><br>
<b>白石:</b> 具体的に「優れたUXを持つエンタープライズシステム」の例ってありますか？
<br><br>
<b>齋藤:</b> そうですね、二つ挙げられるんじゃないかな。
<br><br>
どちらも社内システムの話ですが、一つは従業員自らがUXの改善を行っていくという事例。もう一つは、その企業のコアコンピタンスを突き詰めるため、社内システムのUXを徹底的に改善したという先進的な事例です。</p>

<p><img src="/wp-content/uploads/2014/12/UXE5.jpg" alt="" width="640" height="436" class="alignnone size-full wp-image-11956" srcset="/wp-content/uploads/2014/12/UXE5.jpg 640w, /wp-content/uploads/2014/12/UXE5-300x204.jpg 300w, /wp-content/uploads/2014/12/UXE5-207x141.jpg 207w" sizes="(max-width: 640px) 100vw, 640px" />
<br><br>
<b>新谷:</b> では、一つ目の事例は私の方からお話しましょう。
<br><br>
とある大きなメーカーの社内システムの構築を任されたのですが、そこの社員の方々にヒアリングすればするほど、どんどん要件が収集つかなくなっていくんです。ユーザーとなる従業員の数が多すぎて、ニーズがまとまりきらないんですね。一言で「社内システム」とは言うけれども、ユーザーそれぞれに話を聞いていくと、欲しがっているシステムが部門ごとに全く別ものだったりする。
<br><br>
そこで結局、Microsoftの<a href="http://www.microsoft.com/ja-jp/sharepoint/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer">SharePoint</a>をプラットフォームとして導入することにしました。SharePointは非常に柔軟なシステムで、ユーザ自らがシステムに手を入れていくことができる。いわば、自分たちでUX改善を継続的に行っていけるようなものです。
<br><br>
<b>齋藤:</b> 私たちの会社だと、サイボウズの<a href="https://kintone.cybozu.com/jp/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer">kintone</a>を使って、人事や総務の人たちが自らUIをこしらえたりしてます。こうした「フレキシビリティ」は、今後のエンタープライズシステムにおいてはとても重要になってくるでしょうね。
<br><br>
<b>新谷:</b> また、これらのサービスはクライアント技術としてHTML5が使われているというのも非常に重要です。HTMLやAjaxの知識があるなら、UIは自在に作っていける。データは一箇所に集約したまま、です。
<br><br>
<b>齋藤:</b> 二つ目の事例は、「ドモホルンリンクル」で有名な再春館製薬所さんのコールセンターシステムです。
<br><br>
コールセンターというのは、「同じ時間内で、どれだけ多くの問い合わせを捌くことができたか」が重視されるのが普通です。しかし再春館製薬所さんは、「お客様とどれだけ密なコミュニケーションをとれたか」が会社にとっての価値だと考えている。例えばコールセンターのオペレーターが、「最近お肌のトラブルはありませんか？」とか「お孫さんの誕生日もうすぐですね」とか、そういう話をお客様に向かってするわけです。
お客様としては、「あなたとお話したことないのに、なんでそんなことわかるの？」「私のことをどれだけ知ってくれているの？」という驚き、そして感動に繋がりますよね。
<br><br>
お客様にこういう体験を提供するために、コールセンターの画面 ― 再春館製薬所さんは「お客様」画面と呼んでいますが ― がどれだけ情報ポータルとして洗練されているか、その人自身を感じられるか、というところが彼らの課題だったのです。
かつ、オペレーションはミスなく、素早くこなせる必要がある。
<br><br>
そのために私たちは検討を重ねた結果、スクリーンを複数に分割した形のUIを採用しました。複数のお客様の情報を同時に表示して一覧性を確保しつつ、どれか一つの分割ビューにタッチすると素早く拡大表示される。再春館製薬所さんは「パネルウィンドウシステム」と呼んでいらっしゃいますが、私たちなりにカッコよく言うと、エキスパンド（拡大）型の「コックピットUI」です(笑)。</p>

<p><img src="/wp-content/uploads/2014/12/UXE8.jpg" alt="" width="550" height="362" class="alignnone size-full wp-image-11968" srcset="/wp-content/uploads/2014/12/UXE8.jpg 550w, /wp-content/uploads/2014/12/UXE8-300x197.jpg 300w, /wp-content/uploads/2014/12/UXE8-207x136.jpg 207w" sizes="(max-width: 550px) 100vw, 550px" /><br><span style="font-size: 80%;">　　▲再春館製薬所コールセンターの画面「お客様画面」※写真提供：再春館製薬所</span>
<br><br>
<b>白石:</b> ちょっと感動的なくらいの事例ですね。その話を伺って、以前<a href="https://html5experts.jp/shumpei-shiraishi/11599/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer">エキスパートの竹洞さんにインタビューをした際</a>に、「『自社が提供するサービスのユニークな価値とは何か？』という問いに対する答えを持たなければ、真のUX改善は望めない」とお聞きしたのを思い出しました。
<br><br>
再春館製薬所さんにとっては、お客様との密なコミュニケーションこそが会社の中核的な価値であり、そこを突き詰めた結果が、そうしたコールセンターのUI構築につながったんですね。あらゆる企業が自社のコアコンピタンスを自覚して、それを元に業務アプリのUXを改善していく…というのが理想なんでしょうね。
<br><br>
<b>齋藤:</b> その通りです。ただ、これは業務アプリとしては相当レベルの高い例ですよね。残念ながら世の中には、UXへの配慮が足りていない業務アプリも沢山ある。まずは、そうしたアプリを「普通」のレベルに持っていくのが大事かな、と。
<br><br>
<b>白石:</b> それは、「地に足のついた議論」って感じでいいですね(笑)。
<br><br>
<b>齋藤:</b> まずは「普通」を目指さないと。「事故がないオフィス」とか「事故がない厨房」とか、言うまでもなくあたりまえじゃないですか(笑)。それと一緒ですよ。
<br><br>
<b>新谷:</b> そうそう。まずは普通を達成して、その後初めて、CI (Corporate Identity) に基いてUXを向上…とかって話になるんですよね。</p>

<h2>まとめのひとこと</h2>

<p><br>
<b>白石:</b> いやー、まだ聞き足りないことがたくさんあるんですが、お時間がきてしまいました。特に、「UXがエンタープライズ開発をどう変えるか」とかは、お聞きしたかった…。
<br><br>
<b>齋藤:</b> ぼくらだって、全然話し足りないですよ！<br>今回は、全5回のうちの1回目ってところじゃないですか(笑)。
<br><br>
<b>白石:</b> ぜひまたお話を伺いに来たいです！では最後に、今回のテーマである「エンタープライズとUX」について、一言いただけますでしょうか。
<br><br>
<b>齋藤:</b> 「エンタープライズアプリにUXは必要か？」なんて、ぼくから言わせると「何をいまさら」って感じです。むしろ、エンタープライズだからこそUXでしょ？と。企業は人材こそ命でしょ？従業員あってこその企業でしょ？
<br><br>
従業員に建付けの悪い椅子とかあてがってたら、みんな腰痛で会社来なくなっちゃうよ、と(笑)。いい椅子買おうよ、と。エンタープライズアプリのUXに配慮するというのは、そういうことです。ぼくは、業務システムのUX改善は、福利厚生の一つだとすら考えてますから。</p>

<p><img src="/wp-content/uploads/2014/12/UXE7.jpg" alt="" width="640" height="402" class="alignnone size-full wp-image-11958" srcset="/wp-content/uploads/2014/12/UXE7.jpg 640w, /wp-content/uploads/2014/12/UXE7-300x188.jpg 300w, /wp-content/uploads/2014/12/UXE7-207x130.jpg 207w" sizes="(max-width: 640px) 100vw, 640px" />
<br><br>
<b>新谷:</b> 私は、エンタープライズのUXがなかなか改善されないのは、UXという言葉や技術に対して「食わず嫌い」する姿勢も原因の一つだと思ってるんですよね。難しく考え過ぎているところがあるんじゃないかと思うんです。
<br><br>
特に最近はSharePointやkintoneなど、ものすごく手軽にUIを修正したり構築したりする環境が整ってきているのに、結局それを外のSIerに発注したりしてしまう。すると、せっかくUXを自分たちで改善していける環境があり、流れも来ているのに、台なしになってしまう。難しく考えずに、自分たちの使っているアプリがどうやったらもう少し使いやすいかを考えて、実際に自分たちで改善していく。そういう流れを作っていけたらなあ…と思っています。
<br><br>
<b>白石:</b> おふたりともお忙しい中、インタビューにお時間を割いてくださって、本当にありがとうございました！とても楽しくてためになる時間でした。</p>
]]></content:encoded>
		
		<series:name><![CDATA[Experts Opinions 「UX」]]></series:name>
	</item>
		<item>
		<title>UXデザインに正攻法はないから「仮説」をとにかく出してみる─秋葉秀樹ロングインタビュー</title>
		<link>/shumpei-shiraishi/11695/</link>
		<pubDate>Mon, 15 Dec 2014 00:00:31 +0000</pubDate>
		<dc:creator><![CDATA[白石 俊平]]></dc:creator>
				<category><![CDATA[デザイン]]></category>
		<category><![CDATA[サイト制作]]></category>
		<category><![CDATA[UX]]></category>
		<category><![CDATA[Webデザイン]]></category>
		<category><![CDATA[アジャイル開発]]></category>

		<guid isPermaLink="false">/?p=11695</guid>
		<description><![CDATA[連載： Experts Opinions 「UX」 (4)HTML5 Experts.jpが誇るエキスパートたちに、「UX」というテーマでインタビューするシリーズ第四弾です。 今回のテーマは、「UIデザイナーにとってのU...]]></description>
				<content:encoded><![CDATA[<div class="seriesmeta">連載： <a href="https://html5experts.jp/series/opinions-ux/" class="series-223" title="Experts Opinions 「UX」" data-wpel-link="internal">Experts Opinions 「UX」</a> (4)</div><p>HTML5 Experts.jpが誇るエキスパートたちに、「UX」というテーマでインタビューするシリーズ第四弾です。</p>

<p>今回のテーマは、「UIデザイナーにとってのUX」。インタビューしたのは、NFC技術を利用して水族館の魚をスマートフォンアプリ内に持ち帰ることできる「<a href="http://tuqulore.com/blog/activity/ikesu_a3/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer">Ikesu</a>」など、ユーザー体験を提供する企画・デザインで活躍中の<a href="https://html5experts.jp/hidetaro7/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer">エキスパートNo.16の秋葉秀樹</a>さん。</p>

<p>常にエンドユーザーがワクワクする体験を考えつつ、クライアントの要望を聞き出してカタチにしていく秋葉さんに、デザイン思考や仕事スタイルについて聞いてきました。</p>

<p><img src="/wp-content/uploads/2014/12/IMG_3016.jpg" alt="" width="640" height="417" class="alignnone size-full wp-image-11884" srcset="/wp-content/uploads/2014/12/IMG_3016.jpg 640w, /wp-content/uploads/2014/12/IMG_3016-300x195.jpg 300w, /wp-content/uploads/2014/12/IMG_3016-207x134.jpg 207w" sizes="(max-width: 640px) 100vw, 640px" /></p>

<h2>UXは概念ではなく、本質で語るべき</h2>

<p><br>
<strong>白石：</strong>まず聞いてみたいのは、UXが最重要視されるようになったここ数年で、Webデザイナーの仕事もずいぶん変わってきているのではないかということ。秋葉さんは『<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4797376228" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer">Webデザイン・コミュニケーションの教科書</a>』で最近Webデザイナーのワークスタイルについて執筆されていますが、UI/UXデザイナーという肩書や仕事の変化についてどうお考えでしょうか？
<br><br>
<strong>秋葉：</strong>僕自身は、UXとかUIとか肩書きをつけていないんです。あまりそういう肩書きやキーワードで自分に決めつけてしまう必要を感じてなくて。それより解決することは何でもやるし、チャレンジするから「肩書きなんてどうだっていい」という考えです。ただし、それだとあまりにも分かりづらいから普通に「デザイナー」と名乗っています。
<br><br>
元々僕は広告デザインからスタートした人で、営業、企画、デザイン、オペレーションを一通り20代前半で経験したので、どれに特化しているとも言えないんです。当時から企画を考えるのが好きだったので、独学で学んだIllustratorなどでデザインモックを短期間であげて、それを持ってお客さんに提案することをよくしていました。
<br><br>
その頃はWebがなかった時代ということもあり、電車のポスターとかは沿線に住む人や働く人を調べるのが楽しかった。現在はWeb以外にスマホアプリやSNSからの流入なども考えなくてはいけないから、導線は複雑さを醸し出していますね。</p>

<p><img src="/wp-content/uploads/2014/12/akiba.jpg" alt="" width="640" height="439" class="alignnone size-full wp-image-11885" srcset="/wp-content/uploads/2014/12/akiba.jpg 640w, /wp-content/uploads/2014/12/akiba-300x205.jpg 300w, /wp-content/uploads/2014/12/akiba-207x141.jpg 207w" sizes="(max-width: 640px) 100vw, 640px" /><br><span style="font-size: 80%;">　▲株式会社ツクロア　エキスパートNo.16　秋葉秀樹さん</span>
<br><br>
<strong>白石：</strong>世の中的にはUXデザイナーと名乗る人って、増えてますよね。これまでのWebデザイナーと具体的にはどう違うのでしょう？
<br><br>
<strong>秋葉：</strong>最初に言った通り、あまり肩書きとかキーワードとかにこだわらないのですが、そうですね…。サービスと人を結びつける仕組み作りかと思うんですが、ターゲットの気持ちが100％わからないことが多い。自分がターゲットユーザーになれたらいいなあ、といつも考えています。そう簡単に物事を解決できないほど<strong>世の中は複雑なのに、人はシンプルさを好む</strong>んです。それを考えるのは難しくも楽しい作業だと最近実感しています。
<br><br>
<strong>白石：</strong>秋葉さんにとっての「UX」って何だと考えていますか？
<br><br>
<strong>秋葉：</strong>概念で語るのではななく、本質ってなんだろうってところから、考えるべきだと思うんです。業界の人たちがこぞって買っているアジャイル関連の書籍や、ユーザーストーリーマップ<sup><a href="#fn1" id="r1" data-wpel-link="internal">[1]</a></sup>などのツールを使わなければいけないと思っている人が多いけど、実はそうじゃない。僕も失敗をたくさんしているけど、ツールや手法に頼りすぎて、やってはみたものの本質からかけ離れてしまってこけてるケースって多いんです。
<br><br>
<strong>白石：</strong>そういえば<a href="https://html5experts.jp/shumpei-shiraishi/11315/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer">長谷川さんのインタビュー</a>でも、手法が先行しているけど本質的ではないという話が出てました。
<br><br>
<strong>秋葉：</strong>書籍に書かれたことやルール通りに動くのではなく、それを使って「どう問題解決に向かえるのか？」を頭で描けることが本質の基本じゃないかな？</p>

<p id="fn1" class="footnote"><span style="font-size: 80%;"><a href="#r1" data-wpel-link="internal">[1]</a><dfn>ユーザーストーリーマップ</dfn>…テーマに沿ってユーザーの行動を付箋に書き出し、時系列に並べて整理していくUX手法の一つ</span></p>

<h2>UXの本質は仮説を有力説に導くこと</h2>

<p><br>
<strong>白石：</strong>実際の現場では、そうした本質やターゲットについてどのように話し合っているんですか？</p>

<p><img src="/wp-content/uploads/2014/12/shiraishi.jpg" alt="" width="640" height="438" class="alignnone size-full wp-image-11887" srcset="/wp-content/uploads/2014/12/shiraishi.jpg 640w, /wp-content/uploads/2014/12/shiraishi-300x205.jpg 300w, /wp-content/uploads/2014/12/shiraishi-207x141.jpg 207w" sizes="(max-width: 640px) 100vw, 640px" /><br><span style="font-size: 80%;">　▲インタビュアーHTML5 Experts.jp 白石俊平編集長</span>
<br><br>
<strong>秋葉：</strong>キーワードは「仮説」なんです。とにかく仮説を立てて、「有力説」にしていくことを柔軟にやっていく。こういうユーザーがいたら、こういう行動をとるだろうと考えて、実装したらユーザーレビューをしてまわしていく。レビューでこういうのが上がってきたからこう変えていこうというところまで考えて、できるだけ軽い工程でやらなくてはいけないと思っています。仮説のユーザーが有力なターゲットユーザーになっていく落としどころが見えてくるまで、どういう手法でやるかはできるだけ自由にやるべきなんじゃないかと。
<br><br>
<strong>白石：</strong>なるほど。そのレビューは誰がやるんですか？
<br><br>
<strong>秋葉：</strong>一概には言えないけど、実在のターゲットユーザーに近い方にお願いすることがあります。以前は、ターゲットユーザーがレビュアーにいなかったためにやり取りの中で伝わらなくて失敗したことがありました。ターゲットユーザーの声を聞くのが一番いいんだけど、現場ではなかなかうまくいかなくて、伝言ゲームになることもある。難しさは感じていますね。
<br><br>
<strong>白石：</strong>秋葉さんは、仮説から有力説まで持っていくのにどのようなやり方をしています？
<br><br>
<strong>秋葉：</strong>例えば「UX」なんてキーワードで検索すると、ポストイットをホワイトボードに貼って問題解決をするシーンが出てきますよね？
<br><br>
でも、受ける相談の中でよくあるのが、「ポストイットを貼ったあとからどうしていいかわからない」というものです。僕らのチームではよくUXとかアジャイルとかの書籍に書かれている行程をすべて行うことはしないです。
<br><br>
なにより<strong>ポストイットの作業は、カタチより本質を理解しなければ大抵失敗します</strong>。例えばあるサービスに付随する特集ページを企画して多くのユーザーに見て欲しいとします。
<br><br>
これも一例ですが、「家でお菓子作り」で得られるヒントを想像するために、このようなマトリックスを自作します。</p>

<p><img src="/wp-content/uploads/2014/12/s-fig01.jpg" alt="fig01：「家でお菓子作り」で得られるヒントを想像してみよう" width="640" height="482" class="alignnone size-full wp-image-11875" srcset="/wp-content/uploads/2014/12/s-fig01.jpg 640w, /wp-content/uploads/2014/12/s-fig01-300x225.jpg 300w, /wp-content/uploads/2014/12/s-fig01-207x155.jpg 207w" sizes="(max-width: 640px) 100vw, 640px" />
<br><br>
バレンタインで、密かなブームである「一緒にチョコレートづくり」から派生するキーワードを探します。実際はポストイットなどを使って、チームのメンバーが好き勝手に貼っていきます。</p>

<p><img src="/wp-content/uploads/2014/12/s-fig02.jpg" alt="fig02" width="640" height="485" class="alignnone size-full wp-image-11876" srcset="/wp-content/uploads/2014/12/s-fig02.jpg 640w, /wp-content/uploads/2014/12/s-fig02-300x227.jpg 300w, /wp-content/uploads/2014/12/s-fig02-207x156.jpg 207w" sizes="(max-width: 640px) 100vw, 640px" />
<br><br>
このように、そのコンテンツに密接したキーワードが何かを年間を通じて記録しておき、さらにそのキーワードからふくれあがるキーワードを探していくと、それがユーザーに届ける特集企画のヒントを得られるかもしれません。</p>

<p><img src="/wp-content/uploads/2014/12/s-fig03.jpg" alt="fig03" width="640" height="483" class="size-full wp-image-11877" srcset="/wp-content/uploads/2014/12/s-fig03.jpg 640w, /wp-content/uploads/2014/12/s-fig03-300x226.jpg 300w, /wp-content/uploads/2014/12/s-fig03-207x156.jpg 207w" sizes="(max-width: 640px) 100vw, 640px" />
<br><br>
ただし、それはいくつかの方法のひとつです。<br>
例えばお正月コンテンツを企画する際にこういうマトリックスを作り、ストーリーを作ってみると、ユーザーが期待するかもしれないコンテンツの仮説が立てやすくなります。以下の場合、「自宅でできる正月料理特集」とか「ぐうたらなお正月の過ごし方」という奇をてらった企画とか、いろいろ出てきそうですよね？</p>

<p><img src="/wp-content/uploads/2014/12/s-fig04.jpg" alt="fig04" width="640" height="482" class="alignnone size-full wp-image-11878" srcset="/wp-content/uploads/2014/12/s-fig04.jpg 640w, /wp-content/uploads/2014/12/s-fig04-300x225.jpg 300w, /wp-content/uploads/2014/12/s-fig04-207x155.jpg 207w" sizes="(max-width: 640px) 100vw, 640px" />
<br><br>
仮説を立て、このユーザーが行動する数日間の「関心」を逆に拾ってくるのです。
それが見えてきたら関心に応えてあげようと、私たちは<strong>仮説から企画を作りやすくなるヒントが得られる</strong>かもしれません。
<br><br>
大切なことは「正攻法はない」ことです。<br>
エンドユーザーがどういう関心を示すかは、コンテンツをまずは自分自身が理解し、誰に届けたいのかを明確にして、まずは「仮説」を出してみる、という練習をしてみるのもいいかもしれないですね。
<br><br>
僕からのメッセージとしては、<strong>「どれだけ仮説を有力説に近づけられるか？」</strong>を自分以外のいろんなユーザーを想定して考えたらいいでしょう。
<br><br>
あくまで一つの行程にしかすぎませんが、何もやらないよりは考え、メモやポストイットでちょっとだけ手を動かすと、それだけでもデザイン思考が身に付きます。</p>

<h2>サービスの問題解決から提案するUXデザイナーになるには</h2>

<p><br>
<strong>白石：</strong>秋葉さんはWebデザインという領域をとても広い視野で捉えているけど、一般のWebデザイナーがサービスの課題や問題解決まで考えることを求められるのって実際はまだ少ないような気がしますが…。
<br><br>
<strong>秋葉：</strong>今も過去も、日本のWeb制作会社や発注する企業は、いわゆるウォーターフォール型という上流の担当者が仕様を決めて、一直線に下に投げ込み指示をする受託案件が一般的です。
<br><br>
これはWeb制作の業界にいる人にとって当たり前の感覚でとらえている人が多いわけですが、それだと根拠のない仕様から根拠のないデザインまですべてが担当者の主観で決められ、プロジェクトが進んでしまうのです。
<br><br>
世の中がその受託スタイルで動いているだけに、通常案件で「サービスにおける問題解決」なんて関わる機会がないのは当然なんです。
<br><br>
<strong>白石：</strong>たしかに受託の仕事で、サービス改善の提案から行うのはハードルが高いですよね。どうしてもクライアントの言われるがままに作らざるを得ないことも多いと思います。どうやったら仕事の領域をより本質的な部分へと変化させられるのでしょうか。
<br><br>
<strong>秋葉：</strong>僕がどうこういうべきではないと思うんですが、もし現状がイヤなら抜けだす勇気を持つことだと思います。Photoshopなどを使ったクリエイティブワークというのはなくならないと思いますが、俗にいう「パーツ屋さん」の5年先を見ても自分の立場だったら、まったく将来に魅力を感じません。
<br><br>
頼まれたものを作って納品して終わりでは、その作ったものがどう使われるかわからないじゃないですか。さらに納期があると、何がゴールかわからなくなる。納期を死守しなくてはいけないという観念にとらわれると、もっと人の役に立ちたいという目標が、お客さんの言う通り作ることがゴールになってくるんですよね。</p>

<p><img src="/wp-content/uploads/2014/12/107287148c8a93483e952cbf11a4f1ec.jpg" alt="" width="640" height="409" class="alignnone size-full wp-image-11882" srcset="/wp-content/uploads/2014/12/107287148c8a93483e952cbf11a4f1ec.jpg 640w, /wp-content/uploads/2014/12/107287148c8a93483e952cbf11a4f1ec-300x191.jpg 300w, /wp-content/uploads/2014/12/107287148c8a93483e952cbf11a4f1ec-207x132.jpg 207w" sizes="(max-width: 640px) 100vw, 640px" /></p>

<h2>「パーツ屋さん」を卒業するにはどうすればいい？</h2>

<p><br>
<strong>秋葉：</strong>言われたことだけひたすらパーツを切り出す「パーツ屋さん」の作業を悪くいうつもりはありませんが、世間の評価は決して高くはないです。それどころか、「他にも代わりになる人はいっぱいいる」と暗に評価されているようにも見受けられます、大阪市交通局の求人の一件（ <a href="http://akibahideki.com/blog/2014/06/11.html" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer">大阪市交通局のデザイナー募集で月給約11万について思うこと &#8211; 秋葉秀樹個人ブログ</a>）がその証拠です。そのことを受け止めながら将来を考えた方がいいでしょう。
<br><br>
<strong>白石：</strong>とは言っても、様々な事情からなかなか踏み出せない人も多いような気がします。
<br><br>
<strong>秋葉：</strong>それってなんでだと思いますか？まさに5年先を考えているかどうかだけなんです。お客さんに言われたものを作るだけでは給料も変わらないし、そのうち若くてもっと仕事ができる人も増えてくる。でも、「5年先の自分と仕事の本質」を考えてやっていることは、結局クライアントのためになっていくことって多いはず。「自分が何を大事にしているか」に対してお金を払ってもらうほうが、成長もできると思います。
<br><br>
<strong>白石：</strong>たしかに言われたことだけやってくれる制作会社より、自分事として一緒に考えてくれるところに発注したいですよね。それができる人や制作会社は、どんどん成功事例が積み重なっていく。それが一部の会社だけではなく、いずれ業界全体に広がっていけば、まさに今回のテーマである「UX」につながっていくような気がします。
<br><br>
<strong>秋葉：</strong>世の中の業界のしくみは簡単には変えられないけど、普段からいろいろ考えてデザイン環境を作ることも大事なことだと思います。たとえばあるサービスがユーザーから「使いづらい」と言われていたり、「ユーザー離れがある」といった課題があるなら、何が原因なのか徹底的に調べていくとか。必要なところに時間をかけれるか、無駄なことを無駄と言えるかということが5年先のキャリアに大きく影響するのではないでしょうか。
<br><br>
<strong>白石：</strong>秋葉さんの話を聞いて、クライアントや業界が変わっていくのを待つんじゃなくて、僕らが変わっていくほうがやりやすいのかもしれないと思いました。会社が変わらないなら自分が変わる、会社を変えるでいいじゃないかって。自分たちが楽しく働ける環境を作るために、こうしたUXという考えをどんどん試していくのもありですね。今日はありがとうございました！</p>

<p><DIV align=right>（インタビュー：白石俊平／執筆・撮影：馬場美由紀）</div></p>
]]></content:encoded>
		
		<series:name><![CDATA[Experts Opinions 「UX」]]></series:name>
	</item>
		<item>
		<title>UXとWebパフォーマンス、そののっぴきならない関係 &#8211; 竹洞陽一郎ロングインタビュー</title>
		<link>/shumpei-shiraishi/11599/</link>
		<pubDate>Fri, 05 Dec 2014 00:00:20 +0000</pubDate>
		<dc:creator><![CDATA[白石 俊平]]></dc:creator>
				<category><![CDATA[システム開発]]></category>
		<category><![CDATA[サイト制作]]></category>
		<category><![CDATA[UX]]></category>
		<category><![CDATA[パフォーマンス]]></category>
		<category><![CDATA[マーケティング]]></category>

		<guid isPermaLink="false">/?p=11599</guid>
		<description><![CDATA[連載： Experts Opinions 「UX」 (3)HTML5 Experts.jpが誇るエキスパートたちに、「UX」というテーマでインタビューするシリーズ第三弾です。 株式会社Spelldata CEO、そしてエ...]]></description>
				<content:encoded><![CDATA[<div class="seriesmeta">連載： <a href="https://html5experts.jp/series/opinions-ux/" class="series-223" title="Experts Opinions 「UX」" data-wpel-link="internal">Experts Opinions 「UX」</a> (3)</div><p>HTML5 Experts.jpが誇るエキスパートたちに、「UX」というテーマでインタビューする<a href="https://html5experts.jp/series/opinions-ux/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer">シリーズ</a>第三弾です。</p>

<p>株式会社Spelldata CEO、そして<a href="https://html5experts.jp/takehora/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer">エキスパートNo.54の竹洞陽一郎</a>さんに、「UXとWebパフォーマンス」について聞いてきました。UXとWebパフォーマンス、なんとなーく関連ありそうだなーくらいの気持ちでインタビューをお願いしたのですが、それらに密接な関連があるというだけではなく、マーケティング活動にも大きな影響があることなど、経営者ならではの視点からのお話も聞かせていただきました！</p>

<p>パフォーマンスに関する認識が甘いそこのアナタ、意識が変わること請け合いのインタビューです！
どうぞお楽しみください。</p>

<p><img src="/wp-content/uploads/2014/11/takehora4.jpg" alt="" width="600" height="385" class="alignnone size-full wp-image-11674" srcset="/wp-content/uploads/2014/11/takehora4.jpg 600w, /wp-content/uploads/2014/11/takehora4-300x192.jpg 300w, /wp-content/uploads/2014/11/takehora4-207x132.jpg 207w" sizes="(max-width: 600px) 100vw, 600px" /><br><span style="font-size: 80%;">　▲左から、インタビュアー白石俊平編集長、HTML5 Experts.jpエキスパート竹洞陽一郎さん</span></p>

<h2>パフォーマンス上の問題を抱えるサイトは99%！？</h2>

<p><br>
<b>白石:</b> 今日はよろしくお願いします。竹洞さんは先日、Webサイトの品質改善を行う<a href="http://spelldata.co.jp/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer">株式会社Spelldata</a>を立ち上げられ、10月にWebサイトも公開されたわけですが、Webサイトさすがに速いですね。
<br><br>
<b>竹洞:</b> ありがとうございます。装飾は一切抜いて、画像の数やアクセスするドメイン数を必要最低限に留めることで、高速化を心がけてます。
<br><br>
<b>白石:</b> ちなみに今ぼくが言ったみたいに、「御社のWebサイト、さすがに速いですね」とお客様からお褒めの言葉をいただくようなことって、ありますか？
<br><br>
<b>竹洞:</b>いやあ、ないですねえ。全然（笑）。
<br><br>
<b>白石:</b>ないですか？注目に値する速さな気がしますけども。
<br><br>
<b>竹洞:</b>Webサイトがポンポン表示されるなんて、世の中のほとんどの人にとっては当たり前のことなんですよ。
<br><br>
<b>白石:</b>えっ？？そうなんですか？でも…ポンポン表示されないWebサイトなんて、ザラにありますよね？
<br><br>
<b>竹洞:</b>はい。つまり、大多数の人はポンポン出ないWebサイトからは、すぐに離脱しちゃうんです。ってことは、そんなサイトは存在しないも同じ。
<br><br>
<b>白石:</b> な、なるほど。「ポンポン出るのが当たり前」っていうのは、裏を返すと、「ポンポン出ないWebサイトは存在しないも同じ」ってことですか。</p>

<p><img src="/wp-content/uploads/2014/11/takehora5.jpg" alt="" width="600" height="394" class="alignnone size-full wp-image-11676" srcset="/wp-content/uploads/2014/11/takehora5.jpg 600w, /wp-content/uploads/2014/11/takehora5-300x197.jpg 300w, /wp-content/uploads/2014/11/takehora5-207x135.jpg 207w" sizes="(max-width: 600px) 100vw, 600px" /></p>

<p><br>
<b>竹洞:</b>そうそう。「速くて当たり前でしょ」って感覚。IT業界以外の人に聞いて調査してみると、もっとショックですよ。ちょっとでも表示に時間かかると、容赦なく離脱します。年齢が上がる程に気が短いですね。あと、男性より女性（笑）。
<br><br>
一方、Webサイトをつくる企業やWeb制作会社は、自分のサイトに対して愛があるから、バイアスがかかって無視しちゃうんです。逆に速かったときの印象は記憶に残りやすく、遅いのはたまたまだ、って思っちゃうんですね。実際に自社のサイトが遅いという経験をしても、「PCの調子が悪いんだ」とか「電車の車内だしな」とか、他に原因を求めちゃう。この辺りのお話は、<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4167901765" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer">「錯覚の科学」</a>という本が詳しいです。「人は見たいものだけ見えて、聞きたいことだけ聞こえる」そうです。
<br><br>
<b>白石:</b>なるほど。では、パフォーマンスに問題のあるWebサイトって、どれくらいの割合あるんでしょう。
<br><br>
<b>竹洞:</b><strong>基本的に日本のWebサイトの99%はパフォーマンスに問題ある</strong>、と言ってもいいんじゃないですか。
<br><br>
<b>白石:</b>え、えええ！そんなにですか！99%！？
<br><br>
<b>竹洞:</b>日本のサイトはデスクトップサイトの場合は、トップページが表示し終えるのに平均で4、5秒かかるのはザラなんです。一方、アメリカはトップページを平均1秒以内を目標にしているというレベル。スマートフォンサイトについては、日本はトップページが表示し終えるまで30秒ぐらいかかるのに対して、アメリカの場合は平均5秒前後です。
<br><br>
<b>白石:</b>意識の差が大きいんですかねえ…。
<br><br>
<b>竹洞:</b>もちろん、日本にも意識高い企業はありますよ。例えば<a href="http://www.mitsubishielectric.co.jp/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer">三菱電機</a>さんなんかは、すごくパフォーマンスに気を使っています。正直、コーポレートサイトって、普段からエンドユーザーが見に来るようなものでもないじゃないですか。でも重要な「何か」があった時にはアクセスが殺到する。その時にサイトが見れなかったりすると、最もユーザーが情報を欲しがっている時に、情報を提供できないということになる。そういう時こそ、企業の姿勢や文化が見える。だから、普段からパフォーマンスを意識したサイト作りを行っていると言うんです。でも、なかなかこういう企業は、日本にはないですね。</p>

<p><img src="/wp-content/uploads/2014/11/shiraishi1.jpg" alt="" width="600" height="413" class="alignnone size-full wp-image-11677" srcset="/wp-content/uploads/2014/11/shiraishi1.jpg 600w, /wp-content/uploads/2014/11/shiraishi1-300x206.jpg 300w, /wp-content/uploads/2014/11/shiraishi1-207x142.jpg 207w" sizes="(max-width: 600px) 100vw, 600px" /></p>

<p><br>
<b>白石:</b>じゃあ、パフォーマンスに問題を抱えたサイトが実際にはたくさんある中で、企業はいつ、どういうきっかけでその問題に気づくのでしょうか？
<br><br>
<b>竹洞:</b>お客様からクレームがあった、っていうのが一番よくあるパターンですね。でも、日本の場合、お客様からクレームがあった場合は、相当数のお客様が既に見限っていることが多いです。パフォーマンスの遅いサイトは、ユーザ体験を損ねた結果、クレームとして跳ね返ってくるわけです。</p>

<h2>UXとWebパフォーマンスの密接な関係</h2>

<p><br>
<b>白石:</b>なるほど。「遅い」とか「つながらない」とかって、よく考えるとだいぶネガティブな印象を受けますよね。
<br><br>
<b>竹洞:</b>そうなんです。で、今白石さんがおっしゃった「印象」って、UXを語る上ですごく大事です。
<strong>UXは<a href="http://www.iso.org/iso/catalogue_detail.htm?csnumber=52075" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer">「ISO9241-210:2010」</a>で定義されていて、「製品、システムもしくはサービスの利用もしくは利用によって予測される人の認知と反応」だそうです。ですから「人の心(認知)に変化(反応)を引き起こす」、つまり「人の心がどう動いたか」だと私は考えています。ですから、UXはマーケティングという企業活動と非常に密接な関係があります。</strong>
<br><br>
<b>白石:</b>ぼく、恥ずかしながら最近まで知らなかったのですが、UXってマーケティングの文脈で語られることも一般的なんですよね。
<br><br>
<b>竹洞:</b>そうなんです。だから、サイトのUXに問題があるという企業は、マーケティング上の問題を抱えていると言ってもいい。パフォーマンスはその最たるものです。UXに大きな影響を及ぼす項目でありながら、一番問題が看過されやすい。
<br><br>
<b>白石:</b>竹洞さんの会社も、企業のマーケティング活動をトータルでサポートしてらっしゃるんですよね。
<br><br>
<b>竹洞:</b>そうです。Webサイトのパフォーマンス改善は、その活動の一部でしかない。結局のところ企業の提供するWebサイトって、マーケティング用、販売促進用のツールって言ってもいいと思うんです。
なのにWebサイトが遅いと、ユーザがサイトを見ないで帰ってしまう。これでは、興味を持ってくれたお客さんがそこにいるのに、チラシを渡そうとモタモタしているうちにお客さんが去って行ってしまうようなものです。
<br><br>
<b>白石:</b>なるほど…だから、パフォーマンスを含めたUXの改善が、売上にとっても無視できない影響をおよぼすというわけですね。
<br><br>
<b>竹洞:</b>ただ、UXを考える場合には、一旦Webから離れた方がいいんです。
<br><br>
<b>白石:</b> と、いうと？
<br><br>
<b>竹洞:</b>例えばとある名古屋市で複数店舗を展開している美容室ですが、顧客のペルソナを「37歳女性、2児の母」と明確に定めているそうなんです。そのペルソナに姓名まで付けてある。このペルソナに該当しない女性は、来店していただいかなくてよいとまで言い切っているんです。そして、この顧客のことを具体的に考えて、最高のサービスを提供しようとする。
<br><br>
すると、子供連れで来店できるように託児室を用意するということに繋がる。
それだけじゃありません。その美容室は、その「37歳、2児の母」のための美容サービスがワンストップで提供できるように差別化しています。だから、その美容室でネイルケアもできれば、エステも受けられる、大学と一緒になって研究開発した、37歳を中心とした年齢層向けの化粧品も買える…という具合にサービスを充実しています。</p>

<p><img src="/wp-content/uploads/2014/11/takehora71.jpg" alt="" width="600" height="400" class="alignnone size-full wp-image-11683" srcset="/wp-content/uploads/2014/11/takehora71.jpg 600w, /wp-content/uploads/2014/11/takehora71-300x200.jpg 300w, /wp-content/uploads/2014/11/takehora71-207x138.jpg 207w" sizes="(max-width: 600px) 100vw, 600px" /></p>

<p><br>
待合室も広いサロンになっていて、気軽に2〜3時間一人で過ごしたり、他の来店客と談笑を楽しんだり、店内で販売している子供服をショッピングできるスペースになっている。こうなると、美容室の概念と、そこでの顧客体験そのものが変わっちゃうんですよね。
<br><br>
<b>白石:</b>面白い！
<br><br>
<b>竹洞:</b>結局UXを改善するといっても、事業上のUSP(Unique Selling Proposition)が無いままに闇雲にやってはダメなんです。先の例のように、自社の差別化要因をしっかり考えないと。
「なぜ顧客は、他の企業ではなく、私の会社のサービスを使うべきなのか? 自社の商品を買うべきなのか？」という問いに答えられるようになることが大事。
<br><br>
ここをしっかり考えてあると、自然と販促ツールもしくは販売ツールであるWebサイトで伝えるべき価値が明確になり、その結果、Webの分野におけるUX改善において達成すべき目標も明確になります。
<br><br>
<b>白石:</b>なるほど。伝えるべきものがあってこその、Webサイトですもんね。
<br><br>
<b>竹洞:</b>ただ、Webサイトのパフォーマンスを上げないと、そもそもサイトを見てももらえません。見てもらえないなら、（Webサイトの）UXもへったくれもありません。
<br><br>
先程も申し上げたとおり、エンドユーザの意識としては、Webサイトはポンポン表示されて当たり前。だから遅いという理由で減点されこそすれ、速いからといって加点されるわけじゃないのです。こういう意味ではパフォーマンスの高速化というのは、「売れない理由をつぶす」ということだと言えます。パフォーマンスを上げることが売上アップに直接繋がるとは限りませんが、パフォーマンスが悪いと確実に売上に影響する。</p>

<h2>パフォーマンスが上がると売上が上がる？</h2>

<p><br>
<b>白石:</b>先ほどから何度かご指摘されている、「パフォーマンスが悪いと、サイトそのものを見てもらえない」というのは、具体的にどれくらい見てもらえないものなんでしょう？「遅い！」といって去ってしまう人の割合は？
<br><br>
<b>竹洞:</b>一つの指標になるのは、Google Analytics（GA）が示す「直帰率」です。
<br><br>
ただGAの直帰率って、そもそもGAのスクリプト読み込みが成功したときしか計測できないんですよね。ユーザがサーバにアクセスして、HTMLが読み込まれて、ブラウザがGAのJavaScriptファイルを読み込んで実行する、この一連の動作が完了する前にユーザが離脱してしまった場合は、計測の数値としては「欠損」になってしまいます。
<br><br>
そこで必要になってくるのが、サーバのアクセスログとの突き合わせです。実際にやってみるとわかりますが、GAのデータと結構食い違いが出てきますよ。サーバログのアクセス数に比べて、GAのアクセス数が3〜4割少ないことが頻繁にあります。</p>

<p><img src="/wp-content/uploads/2014/11/shiraishi22.jpg" alt="shiraishi2" width="600" height="418" class="alignnone size-full wp-image-11685" srcset="/wp-content/uploads/2014/11/shiraishi22.jpg 600w, /wp-content/uploads/2014/11/shiraishi22-300x209.jpg 300w, /wp-content/uploads/2014/11/shiraishi22-207x144.jpg 207w" sizes="(max-width: 600px) 100vw, 600px" /></p>

<p><br>
<b>白石:</b>そんなに！それだけの人々が、サイトの遅さにあきれて離脱してしまっている可能性もあるということですか。
<br><br>
<b>竹洞:</b>全部がパフォーマンスのせいではないでしょうが、無視できない割合なのは間違いありません。だから、「サイトを高速化するとアクセス数が伸びる」というのは実は単純な理屈なんです。サイトを速くすれば、直帰率が下がる。
<br><br>
<b>白石:</b>なるほど…遅いサイトを我慢できなくなったのは、モバイルの普及も関係ありそうですね。PCだったら、遅いサイトを読み込んでいる間にほかのことをして時間を潰せますが、スマホだとそうはいきませんものね。</p>

<h2>パフォーマンスを改善せよ！そして、UXを改善せよ！</h2>

<p><br>
<b>白石:</b>では、Webエンジニアが実際にパフォーマンス改善を行うために、どのようなことを心がければいいでしょうか？
<br><br>
<b>竹洞:</b>品質管理の概念を製造業から学んで、実験計画法に基づいて、自分が関与しているWebサイトのパフォーマンスの計測データ取得して、毎日見ることですね。
<br><br>
私は、成蹊大学名誉教授の中西寛子先生にお願いして、月1回「中西塾」という統計学の勉強会を開催していて、そこの管理人をやっています。中西先生が今月の回で仰っていたのですが、日本はデータの取り方について、世界に比べて教育が非常に遅れているそうです。
<br><br>
データの取り方には、1. 調査 2. 実験 3.観測の3つがあるそうで、欧米では明確に違いを分けているそうです。この中で、因果関係を説明できるのは、「実験」だけなんです。それは、実験者が実験計画に「介入」することが可能だからなんです。
<br><br>
しかし、日本でパフォーマンス計測で有名なのは、FirebugやChrome Developer Toolですよね。あれは、「観測」なんです。因果関係は証明できない。「何か関係がありそうだな」と当たりをつける程度なんです。
では、「実験」と「観測」の根本的な違いは何かというと、実験計画法の「局所管理化、ランダム化、反復」を満たしているかどうかです。</p>

<p><img src="/wp-content/uploads/2014/11/takehora6.jpg" alt="" width="600" height="412" class="alignnone size-full wp-image-11678" srcset="/wp-content/uploads/2014/11/takehora6.jpg 600w, /wp-content/uploads/2014/11/takehora6-300x206.jpg 300w, /wp-content/uploads/2014/11/takehora6-207x142.jpg 207w" sizes="(max-width: 600px) 100vw, 600px" />
<br>
品質管理で、商品を1個だけ抜き出して、それが品質基準を満たしていたら、他の全商品が満たしていると言っていいかと問われれば、ダメに決まっています。でも、今のWebの業界って、それをやってるんですよ。時々、FirebugやChrome Developer Toolを使って計測してみて終わりという具合に。そもそも、インターネットの中は、毎日状況が変わっているという意識がないから、一度、高速化してしまえば、それでOKだと思っている人がほとんどだし。
<br><br>
Webサーバからインターネット回線やモバイル回線、そして端末のWebブラウザという一連の「生産ライン」を、HTML、CSS、JavaScript、画像といった「部品」が流れていって、Webブラウザ上で組み立てられた「完成品」がWebページで、その部品を配送する「インターネット」というベルトコンベアの状況が毎日変わっているんだから、毎日計測しないと、今のパフォーマンスはどうなっているってことを言えないんです。昨日速かったから、今日も速いわけじゃない。
<br><br>
例えば、デバイスからネットワークパフォーマンスを計測する「スピードテスト」みたいなアプリっていろいろあるじゃないですか。あれ、実はあんまり意味ないんですよね。
<br><br>
<b>白石:</b>え、そうなんですか。あれで計測してキャリアや端末を比較している記事とか、よく見かけますけども…。
<br><br>
<b>竹洞:</b>最近はネットワークも複雑系の極みで、パケットの経路も一意には定まりません。全部の通信が、一度、日本のIXを通って…というのは、昔のお話です。どこのサーバにアクセスするかによって、経路は様々です。あのテストで得られる結果って、「たまたまその時、そのアプリのテストサーバにアクセスする経路で、一度だけ」得られたパフォーマンスデータでしかないんです。
<br><br>
統計的に意味のあるデータにするためには、一定数以上のサンプルが必要。例えば、弊社製品の宣伝みたいで恐縮なんですが、うちだと「<a href="http://speeddata.jp/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer">SpeedData</a>」というサービスがあります。これは、Webサイトのパフォーマンスデータを24時間365日計測して得られたデータに、高度な統計的処理を施した上で、様々な形の可視化を行うことができます。</p>

<p><img src="/wp-content/uploads/2014/11/takehora1.jpg" alt="" width="600" height="400" class="alignnone size-full wp-image-11672" srcset="/wp-content/uploads/2014/11/takehora1.jpg 600w, /wp-content/uploads/2014/11/takehora1-300x200.jpg 300w, /wp-content/uploads/2014/11/takehora1-207x138.jpg 207w" sizes="(max-width: 600px) 100vw, 600px" /><br><span style="font-size: 80%;">▲図:実際に計測していたデータをグラフで表示</span>
<br>
<b>白石:</b>なるほどー。で、データを見て問題の切り分けを行うわけですね。
<br><br>
<b>竹洞:</b>はい。おおまかに言えば、パフォーマンスの問題は「フロントエンド」「バックエンド」そして中間をつなぐ「ネットワーク」のそれぞれに切り分けられます。それぞれについて、ちょっとしたTIPSをご紹介しますね。
<br><br>
ネットワークでは、実はDNSがボトルネックになることがよくあります。特にモバイルネットワークだと、日本ではNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの三社が抱えるDNSサーバに負荷が集中するという構造がある。しかし、その点を深く考えないWeb制作会社や運営会社は、何かあったときにサーバを切り替えやすいようにとか言って、DNSのTTLを5〜10分に設定します。
<br><br>
そうなると、スマートフォンでの名前解決のキャッシュが5〜10分で切れるわけですから、数百万台のスマートフォンからDNS LookupのDos攻撃を常に受けているようなものです。これに耐えているのは素晴らしいとしか言いようがありませんが、さすがにパフォーマンスが安定しません。
<br><br>
フロントエンドでいうと、ソーシャルボタンや広告などが足を引っ張ることがよくありますね。こうしたパーツはiframeで読み込まれることが多いですが、iframeのレンダリングそのものが遅い上に、iframeで読み込んだHTMLが別ドメインのリソースを参照していることもよくあります。</p>

<p><img src="/wp-content/uploads/2014/11/takehora9.jpg" alt="" width="600" height="377" class="alignnone size-full wp-image-11686" srcset="/wp-content/uploads/2014/11/takehora9.jpg 600w, /wp-content/uploads/2014/11/takehora9-300x188.jpg 300w, /wp-content/uploads/2014/11/takehora9-207x130.jpg 207w" sizes="(max-width: 600px) 100vw, 600px" /></p>

<p><br>
例えば、Facebookのいいね！ボタンだけでも4ドメイン以上参照していたりもする。TwitterやGoogle+、はてなブックマークボタンなどを入れると、参照するドメイン数が15を超えるのは普通です。しかも、サービス事業者側としてはできるだけ新しいリソースにアクセスして欲しいので、キャッシュの有効期限も短く設定されているのが普通。
<br><br>
こうなってくると、HTTPのリクエスト数も多いし、DNSも足を引っ張りますし、少ないドメイン数で構成されているWebページを前提としているSPDYとかもあんまり効果がありません。
<br><br>
バックエンドに問題があった場合は、一筋縄では行きませんよね。以前私が担当した仕事で、CDNのエッジサーバ上で動的にページを生成する仕組みを導入してフロント部分の高速化を行った所、今までTopページの速度が平均15秒ぐらいだったのが2〜3秒になって、その結果、アクセス数が殺到しちゃって、バックエンドのシステムが持たなくなっちゃった、なんてこともありました。その時は、バックエンドの修正コストが馬鹿にならなかったので、泣く泣く元に戻しましたけども（笑）。
<br><br>
<b>白石:</b>それは残念な事例ですね（笑）
<br><br>
<b>竹洞:</b>また、どうしてもパフォーマンス改善が難しいケースもあります。特に、サービスのコンセプトそのものが、パフォーマンスとのトレードオフになる場合などは悩ましいですね。例えば以前携わったお仕事で、「世界中のほぼ全てのホテルを検索できる」というのがウリのサービスがありました。バックエンドのパフォーマンスを上げたいけれども、元となるホテルの検索結果のデータを提供するアメリカやロンドンのAPIサーバの反応がよくなくて、どうしても限界がありました。
<br><br>
<b>白石:</b>それには、どう対処したんですか？
<br><br>
<b>竹洞:</b>結局パフォーマンスの問題は、UXの問題の一部でしかないというところがポイントです。実際の速度を変えられなくとも、UXは改善できる。その時は、検索の進捗状況をプログレスバーで見える化してユーザのストレスを軽減すると共に、そのサービスのウリである「世界中のほぼ全てのホテルを検索できる、聞いたことのない国でもホテルが予約できる」というメッセージが、ユーザの目に留まりやすいようにしたのです。</p>

<p><img src="/wp-content/uploads/2014/11/takehora81.jpg" alt="" width="600" height="392" class="alignnone size-full wp-image-11687" srcset="/wp-content/uploads/2014/11/takehora81.jpg 600w, /wp-content/uploads/2014/11/takehora81-300x196.jpg 300w, /wp-content/uploads/2014/11/takehora81-207x135.jpg 207w" sizes="(max-width: 600px) 100vw, 600px" /></p>

<p><br>
そのサービスのウリは、ユーザにとても価値のあるものでした。だからその価値を前面に打ち出した上で、その代わり検索には時間がかかるよ、とわかりやすく表現することで、速度面でのウィークポイントを補えると判断したのです。
<br><br>
<b>白石:</b>なるほど。サービスの価値をユーザに明確に認識してもらうことが、UXの改善につながったというわけですね。
<br><br>
<b>竹洞:</b>はい。それは結局のところ、インタビュー冒頭に申し上げた「UXとは結局、人の心がどう動いたか」であるという考えにも繋がるわけですね。サービスの価値を理解してもらうことが、ユーザの心を動かすのです。
<br><br>
<b>白石:</b>UX、パフォーマンス、マーケティングなど、いろいろなお話が聞けてとても価値のある、楽しい時間でした。どうも、ありがとうございました！</p>

<p><DIV align=right>（インタビュー・執筆：白石俊平／撮影：馬場美由紀）</div></p>
]]></content:encoded>
		
		<series:name><![CDATA[Experts Opinions 「UX」]]></series:name>
	</item>
		<item>
		<title>ミツエーリンクスのCTOに「UXとWebアクセシビリティ」について聞いてきた─木達一仁ロングインタビュー</title>
		<link>/shumpei-shiraishi/11532/</link>
		<pubDate>Tue, 02 Dec 2014 02:00:40 +0000</pubDate>
		<dc:creator><![CDATA[白石 俊平]]></dc:creator>
				<category><![CDATA[サイト制作]]></category>
		<category><![CDATA[Microdata]]></category>
		<category><![CDATA[UX]]></category>
		<category><![CDATA[Web Components]]></category>
		<category><![CDATA[アクセシビリティ]]></category>

		<guid isPermaLink="false">/?p=11532</guid>
		<description><![CDATA[連載： Experts Opinions 「UX」 (2) HTML5 Experts.jpが誇るエキスパートたちに、「UX」というテーマでインタビューするシリーズ第二弾です。 株式会社ミツエーリンクスCTO、そしてエキ...]]></description>
				<content:encoded><![CDATA[<div class="seriesmeta">連載： <a href="https://html5experts.jp/series/opinions-ux/" class="series-223" title="Experts Opinions 「UX」" data-wpel-link="internal">Experts Opinions 「UX」</a> (2)</div><p><style>
p.footnote {
  font-size: small;
  font-family: monospace;
}
</style>
HTML5 Experts.jpが誇るエキスパートたちに、「UX」というテーマでインタビューするシリーズ第二弾です。</p>

<p><a href="http://www.mitsue.co.jp/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer">株式会社ミツエーリンクス</a>CTO、そして<a href="https://html5experts.jp/kazuhito/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer">エキスパートNo.40の木達一仁さん</a>に、「UXとWebアクセシビリティ」について聞いてきました。
「UXとWebアクセシビリティって、関連あるのかな？」なんて、自分で企画したにも関わらず無責任な疑問を抱える中、そんな疑問を吹き飛ばすような気付きをいただける貴重なインタビューでした。</p>

<p>alt属性からWeb Componentsのアクセシビリティまで、たっぷり聞いてきました！皆さんどうぞ、お楽しみください。</p>

<p><img src="/wp-content/uploads/2014/11/kidachi11.jpg" alt="" width="600" height="418" class="alignnone size-full wp-image-11588" srcset="/wp-content/uploads/2014/11/kidachi11.jpg 600w, /wp-content/uploads/2014/11/kidachi11-300x209.jpg 300w, /wp-content/uploads/2014/11/kidachi11-207x144.jpg 207w" sizes="(max-width: 600px) 100vw, 600px" /></p>

<h2>Webアクセシビリティについての現状</h2>

<p><br>
<b>白石:</b> 今日は、「UXとWebアクセシビリティ」というテーマでいろいろお話を伺いたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
<br><br>
<b>木達:</b> はい、よろしくお願いします。
<br><br>
<b>白石:</b> まずはちょっと「UX」というキーワードは横に置いておいて、アクセシビリティに関する現状についてお聞きしたいです。アクセシビリティに関する意識は、Web業界全体で高まっていますか？
<br><br>
<b>木達:</b> 私の感じるところでは、特に高まってはいないですね。アクセシビリティに関する意識の向上に繋がるようなイベントなども、まだまだ不足していると思います。
<br><br>
<b>白石:</b> そうですかー、まだまだって感じなんでしょうか。
<br><br>
<b>木達:</b> ただ、良いニュースもあります。今度、ヤフーさんやビジネス・アーキテクツさんと、<a href="http://a11yfes.peatix.com/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer">アクセシビリティやるぞ！祭り</a>というちょっと変わった名前の（笑）イベントを開催するのですが、あっという間に満員になりまして。これは少し追い風かな、と。でも参加者のリストを見ると、（イベント参加の必要がないほど）既にアクセシビリティに詳しそうな方も結構いらっしゃるんですよね。そういう方々はもしかすると、「アクセシビリティを盛り上げたい」という思いで申し込んでくださったのかもしれません。どちらにしても、ありがたいことです。</p>

<p><img src="/wp-content/uploads/2014/11/kidachi2.jpg" alt="" width="600" height="424" class="alignnone size-full wp-image-11589" srcset="/wp-content/uploads/2014/11/kidachi2.jpg 600w, /wp-content/uploads/2014/11/kidachi2-300x212.jpg 300w, /wp-content/uploads/2014/11/kidachi2-207x146.jpg 207w" sizes="(max-width: 600px) 100vw, 600px" /><br><span style="font-size: 80%;">　▲HTML5 Experts.jpエキスパート木達一仁さん</span>
<br><br>
<b>白石:</b> いいですね！タイトルもゆるくて面白そうです。
<br><br>
<b>木達:</b> このように、意識を高めるべく民間主導で取り組み始めているほか、国が主導してアクセシビリティ対応を推進していこうという動きがあります。
例えば、総務省は「<a href="http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/w_access/index_02.html" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer">みんなの公共サイト運用モデル</a>」をガイドラインとして公開、公的機関に対しアクセシビリティ対応を推奨しています。しかし、これはあくまで手引きでしかなく義務ではないので、強制力は弱い。
<br><br>
もっと強い枠組みを求める、法制化に向けた動きもあります。<br>
国連が定めた<a href="http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinken/index_shogaisha.html" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer">障害者の権利に関する条約</a>への批准に伴い、<a href="http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai.html" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer">障害者差別解消法</a>が制定されました。この法律は来年が周知期間で、再来年から施行されます。その基本方針に対し、私が副委員長を務める<a href="http://waic.jp/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer">ウェブアクセシビリティ基盤委員会</a>は、「アクセシビリティへの対応を怠ることは障害者差別にあたる」との観点から、<a href="http://waic.jp/news/20140804.html" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer">内閣府に意見書を提出しています</a>。
<br><br>
<b>白石:</b>アクセシビリティ対応が、法律でルール化されるかもしれないということですか。
<br><br>
<b>木達:</b> はい。ただ、法律に定められているからアクセシビリティに対応する、やらないと罰せられるから取り組むというのは、正直言ってちょっと意識低いよな、と思います。<br />
Web技術者たるもの、Webのアーキテクチャが持つ可能性を最大化するためにも、アクセシビリティ向上には積極的に取り組んでいきたいですね。
<br><br>
<b>白石:</b> 啓蒙や法制化の他にも、ビジネス的なメリットを打ち出すことができれば、企業にとってもアクセシビリティ対応の動機付けになるのではと思います。ビジネスの観点からアクセシビリティを見た場合、どのようなポイントがありますか？</p>

<p><img src="/wp-content/uploads/2014/11/kidachi3jpg.jpg" alt="" width="600" height="400" class="alignnone size-full wp-image-11590" srcset="/wp-content/uploads/2014/11/kidachi3jpg.jpg 600w, /wp-content/uploads/2014/11/kidachi3jpg-300x200.jpg 300w, /wp-content/uploads/2014/11/kidachi3jpg-207x138.jpg 207w" sizes="(max-width: 600px) 100vw, 600px" /><br><span style="font-size: 80%;">　▲インタビュアーHTML5 Experts.jp 白石俊平編集長</span>
<br><br>
<b>木達:</b> アクセシビリティという概念は、コスト意識やROI（投資利益率）といった話題と相性がよくないと感じます。ビジネス的なメリットは確かにあるのですが、具体的にいくら儲かるから対応しましょう、とは言いがたいです。
<br><br>
CSR（企業の社会的責任）という観点からは、例えば<a href="https://www.oki.com/jp/terms/accessibility.html" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer">沖電気さんは、昔からアクセシビリティ対応を行っていらっしゃいます</a>。
<br><br>
海外では日本国内と異なり、アクセシビリティに対する意識は高まっていて、法律で対応が義務付けられている国もあります（編集部注: <a href="http://waic.jp/news/20140804.html" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer">ウェブアクセシビリティ基盤委員会 障害者差別解消法の基本方針に関する意見書</a>の後半に、海外各国の動向がまとめられている）。
それゆえ、グローバルビジネスを展開されている企業は比較的、アクセシビリティ対応に積極的ですね。
<br><br>
海外展開を行う企業にとっては、アクセシビリティ対応が国際競争力に関わる可能性がある…とも言えるかもしれません。</p>

<h2>UXとWebアクセシビリティ</h2>

<p><br>
<b>白石:</b> ではいよいよ、UXというキーワードについても触れていきたいと思います。UXとアクセシビリティは、どのような関連がありますか？
<br><br>
<b>木達:</b> Webコンテンツを中心として考えると、ユーザがコンテンツにアクセスする前、アクセス中、アクセス後のそれぞれにUXがあります。アクセシビリティはその中でも、コンテンツにアクセスしている最中のUXに紐付いていると言えるでしょう。つまり、コンテンツのUIと密接に関連があります。UIがどれだけアクセシブルか、それがUXとアクセシビリティを考える上で重要ですね。
<br><br>
<b>白石:</b> なるほど。そして、WebのUIといえばHTMLですね。
<br><br>
<b>木達:</b> はい。WebのUIをアクセシブルにするなかで、必然的に「マシンリーダブル」<sup><a href="#fn1" id="r1" data-wpel-link="internal">[1]</a></sup>なHTMLマークアップを目指すことになります。かつて、マシンリーダブルなHTMLマークアップを推し進める原動力となっていたのはSEOでした。検索エンジンのクローラを視覚を持たないユーザになぞらえ、クローラにとって解釈しやすいコードを書くことで、検索結果上のランキングを向上させようとしていたわけです。
<br><br>
しかし今後は、別の大きなトレンドが、マシンリーダブルなHTMLマークアップを目指す原動力になっていくでしょう。</p>

<p id="fn1" class="footnote"><a href="#r1" data-wpel-link="internal">[1]</a><dfn>マシンリーダブル</dfn>…人間ではなく、機械やプログラムにも読み取り可能なこと。</p>

<p><img src="/wp-content/uploads/2014/11/kidachi5.jpg" alt="" width="600" height="444" class="alignnone size-full wp-image-11592" srcset="/wp-content/uploads/2014/11/kidachi5.jpg 600w, /wp-content/uploads/2014/11/kidachi5-300x222.jpg 300w, /wp-content/uploads/2014/11/kidachi5-207x153.jpg 207w" sizes="(max-width: 600px) 100vw, 600px" />
<br><br>
<b>白石:</b> と、いうと？
<br><br>
<b>木達:</b> <strong>デバイスの多様化です。</strong>ユーザーは既に、一つのWebコンテンツに対して様々なデバイスから様々な方法でアクセスするようになっていますし、今後その動きは加速していくでしょう。Webは、基本的にコンテンツをアクセシブルに提供できるよう設計されていますが、そのポテンシャルを最大化するためにも、アクセシビリティの確保は今後重要になってくるだろうな、と考えています。
<br><br>
<a href="http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40922?page=3" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer">現代ビジネスに掲載されていた古川健介氏へのインタビュー記事</a>で、ハッとさせられた言葉があるんです。それは、インターネットにおける次の大きなトレンドは何か？という質問に対し、古川氏が<strong>「画面がなくなることだ」</strong>と答えていらっしゃったんですね。この将来予測はとても面白い。
<br><br>
もし画面がなくなってしまったら、Webを視覚以外で利用することが一般化するはず。ぱっと思い浮かぶのは、Webコンテンツ音声で読み上げてもらうことでしょう。そうなった場合、Webコンテンツがマシンリーダブルであることが（スクリーンリーダーなどのプログラムがWebコンテンツを読み取る必要があるので）非常に重要です。
<br><br>
<b>白石:</b> 確かに、デバイスによってはWebコンテンツへのアクセス方法は全く変わってきそうですね。Google Glassやスマートウォッチなどの、画面の非常に小さなデバイスも出てきていますし、そうしたデバイス上ではWebコンテンツは全く違った消費のされ方をするかもしれません。
<br><br>
<b>木達:</b> そうですね。多様なデバイスからアクセスされることを前提とした場合、アクセシビリティに配慮したWebコンテンツのほうが、高いレベルのUXを提供できるのは間違いないと思います。</p>

<h2>HTML5はWebアクセシビリティを変えるか？マイクロデータは？JavaScriptは？Web Componentsは？</h2>

<p><br><br>
<b>白石:</b> HTMLの話が出たので、ちょっとこのまま、HTMLやJavaScriptなどのフロントエンド技術と、アクセシビリティの関係についていろいろ伺いたいと思います。例えば、HTML5ではWebページのアクセシビリティ向上が期待できる新しい要素がいくつも追加されました。例えばmain要素やnav要素が挙げられると思います。こうした要素が増えたことで、アクセシビリティの高いWebページを、Web制作者が自然と記述するようになった…といった変化はありますか？
<br><br>
<b>木達:</b> 新しい要素は既に普及し始めてはいるものの、ユーザーエージェントや支援技術の対応状況からすると、それでアクセシビリティが劇的に向上したという印象はまだありません。ただ、今後に期待はしています。例えばmain要素については、<a href="http://kidachi.kazuhi.to/blog/archives/037643.html" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer">2012年のHTML5 Advent Calendar</a>でも取り上げたのですが、非常に重要な要素です。main要素の登場以前は、Webページ内の「主要なコンテンツ」にアクセスする手段は、スキップリンク（ページ先頭などに仕込まれた、「本文へ」のような隠しリンク）や、レベル1の見出しを主要コンテンツの先頭に置くといった方法が取られてきました。main要素が登場したおかげで、ユーザーの「主要なコンテンツに素早くアクセスしたい」というニーズを、よりスマートに満たすことができるようになると思います。</p>

<p><img src="/wp-content/uploads/2014/11/kidachi4.jpg" alt="" width="600" height="373" class="alignnone size-full wp-image-11591" srcset="/wp-content/uploads/2014/11/kidachi4.jpg 600w, /wp-content/uploads/2014/11/kidachi4-300x186.jpg 300w, /wp-content/uploads/2014/11/kidachi4-207x128.jpg 207w" sizes="(max-width: 600px) 100vw, 600px" />
<br><br>
<b>白石:</b> マイクロデータなどの、メタデータを表す技術はいかがでしょうか？アクセシビリティ向上に役立つ可能性はありますか？
<br><br>
<b>木達:</b> はい、それはありますね。ユーザーエージェントが意図した通りにコンテンツを解釈し、ユーザーに伝えてくれる可能性が高まります。
<br><br>
<b>白石:</b> 日付を表すデータの通知をスマートウォッチ上で受け取り、それをそのままカレンダーに登録するといったこともできそうですね。
<br><br>
<b>木達:</b> HTML5で新たな要素が数多く追加されましたが、無限に増やしていくわけにもいきません。そうなるとマイクロデータなどの、既存の要素に新たな意味を付与していける枠組みは重要になると思います。
<br><br>
<b>白石:</b> 「要素を無限に追加していけるわけではない」というお話で思いついたのですが、Web Componentsなら、要素を無限に追加することはできそうですね。Web Componentsとアクセシビリティの関係はどうなるとお考えですか？
<br><br>
<b>木達:</b> Web Componentsによるカスタム要素は、ブラウザ内部では既存の要素群に展開・処理されます。展開後の状態がアクセシブルである限り、影響はあまりないのではないか…と思います。ただちょっと心配なのは、「アクセシビリティへの配慮に欠ける、でもUIがカッコいい」みたいなカスタム要素が世界的に流行して、Web全体のアクセシビリティが低下してしまうような事態が起こらないといいな、と。カスタム要素を使う側からすると、カプセル化されたマークアップの質にはあまり注意を払わないでしょうから。
<br><br>
<b>白石:</b> 確かにそれは心配ですね…でもまあ、そのカスタム要素がバージョンアップすることで、一気にアクセシビリティが改善するということもあるかもしれませんし、逆に言えばアクセシビリティの高いコンポーネント群が流通すれば、容易にアクセシビリティに優れたWebサイトを構築できるようになるかもしれませんね。ちなみに、JavaScriptなどを用いた動的なUIであっても、アクセシビリティは確保できるものなのでしょうか？
<br><br>
<b>木達:</b> WAI-ARIA<a href="#fn1" id="r2" data-wpel-link="internal">[2]</a></sup>を適切に実装している前提においては、大きな問題は起こりにくいでしょう。たとえば<a href="http://www.w3.org/TR/wai-aria/states_and_properties#aria-live" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer">aria-live</a>プロパティを使って、JavaScriptなどにより動的に変更される部分を明示することができます。野球のスコアボードをHTMLで作ったとして、その点数が動的に変更された場合、変更部分の情報だけをユーザーに伝えることも可能です。
<br><br>
WAI-ARIAはいいですね。アクセシビリティを明らかに改善する技術です。正直なところ、大昔はWAI-ARIAの効果については懐疑的だったのですが、今は改心しました（笑）。</p>

<p id="fn2" class="footnote"><a href="#r2" data-wpel-link="internal">[2]</a><dfn><abbr title="Web Accecibility Initiative - Accesible Rich Internet Applications">WAI-ARIA</abbr></dfn>…W3C内のWeb Accesibility Initiativeによって策定された、WebコンテンツやWebアプリケーションのアクセシビリティと相互運用性を向上させる技術。roleなどの属性をHTML要素に設定することで、UIのアクセシビリティを向上させることができる。<a href="http://www.w3.org/TR/wai-aria/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer">W3C仕様</a></p>

<p><img src="/wp-content/uploads/2014/11/kidachi6.jpg" alt="" width="600" height="414" class="alignnone size-full wp-image-11593" srcset="/wp-content/uploads/2014/11/kidachi6.jpg 600w, /wp-content/uploads/2014/11/kidachi6-300x207.jpg 300w, /wp-content/uploads/2014/11/kidachi6-207x142.jpg 207w" sizes="(max-width: 600px) 100vw, 600px" /></p>

<p><br>
<b>白石:</b> なるほど、それは知りませんでした。JavaScriptを用いた動的なページを作って、アクセシブルにするには、そうした分野の知識も学んでおく必要があるんですね。</p>

<h2>受託制作とUX</h2>

<p><br>
<b>白石:</b> ここまで、たくさんの興味深いお話をどうもありがとうございました。最後にまたUXの話題に立ち戻りたいのですが、先だってインタビューさせていただいた<a href="https://html5experts.jp/shumpei-shiraishi/11315/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer">長谷川恭久さんが、日本固有の「Web制作の受託」という業態が、UXのトータルな改善を難しくしている</a>という問題提起をされていました。木達さんが取締役を務めているミツエーリンクスも、Webサイトの受託制作を数多く手がけていらっしゃると思いますが、受託という立場からUXを改善していくという点にあたっては、どのようなご意見をお持ちですか？
<br><br>
<b>木達:</b> 案件にもよりますが、確かに、受託として入り込める限界というのはあります。やはり、お客様との距離が近ければ近いほうが、WebサイトのUX改善については実現できることが多い。例えば弊社では、社員がお客様のオフィスに常駐するようなかたち（オンサイト）でお仕事させていただくこともありますが、UXのトータルな改善という点から言うとそのほうが理想的です。制作部分だけではなく、運営全体をお客様と一緒になってやっていけますから。
<br><br>
また、お客様のサイトを運用するためのチームをミツエーリンクス社内に設置しているケース（オフショア）もあります。制作だけではなく、運用面についてもお任せいただける場合のほうが、やはりUXの改善に深く取り組めますね。</p>

<p><img src="/wp-content/uploads/2014/11/kidachi7.jpg" alt="" width="600" height="387" class="alignnone size-full wp-image-11594" srcset="/wp-content/uploads/2014/11/kidachi7.jpg 600w, /wp-content/uploads/2014/11/kidachi7-300x193.jpg 300w, /wp-content/uploads/2014/11/kidachi7-207x133.jpg 207w" sizes="(max-width: 600px) 100vw, 600px" />
<br><br>
<b>白石:</b> 制作だけのお仕事の場合、運用のことを全く考えないマークアップをしてしまうことも防ぎにくいですしね。
<br><br>
<b>木達:</b> 社内の人間がそんなマークアップをしていたら、怒っちゃいますけどね（笑）。典型的な受託制作案件であっても、「運用のことを考えて作る」というのは日頃から心がけているつもりですし、コードに対するレビューをワークフローに組み込むことで、品質の担保は心がけています。ちなみに弊社では、基本的なアクセシビリティ対応については追加コストなしで提供するようにしています（<a href="http://www.mitsue.co.jp/release/20100129.html" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer">プレスリリース「ウェブコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン（WCAG）2.0への標準対応の開始について」</a>）。Webページの品質という観点からすれば、最低限のアクセシビリティ確保は基本的な品質なので。
<br><br>
<b>白石:</b> UXについての、企業としての取り組みはいかがですか？
<br><br>
<b>木達:</b> 弊社にはUX部という専門の部署やユーザーテストスタジオと名付けた施設があり、ユーザビリティテストやユーザー調査を実施できる体制、環境を整えていますね。ユーザーテストスタジオでは、アイトラッカーを使ってユーザーの視線がどう動くかを調査したり、ハーフミラー越しにその様子を観察することができます。
<br><br>
<b>白石:</b> ユーザビリティテストのための専用の部屋があるんですね。見たい…（編集部注: この日はお部屋が終日使用中で、見せていただくことは適いませんでした。残念！）</p>

<h2>「アクセシビリティが当たり前」の社会を作る</h2>

<p><br>
<b>白石:</b> 最後に今回のインタビューのまとめとして、一言いただけますでしょうか？
<br><br>
<b>木達:</b> 「いつ、誰が、どのようなデバイスを用いてWebにアクセスするかわからない」という時代は既に始まっています。そういう時代においては、アクセシビリティに配慮することが「いつでも、誰でも、どんなデバイスからでもアクセスしやすいWeb」につながり、ひいてはUXを向上させることにもつながります。
<br><br>
そして「アクセシビリティに配慮する」と言っても、難しく考える必要はありません。できることから確実に実践していけばよいと思います。例えば、まずはimg要素には適切な代替テキストをalt属性で指定するようにする…というだけでもよいのです。そうした個々人の行動が、「アクセシビリティが当たり前」の社会を作ることに繋がると思っています。
<br><br>
<b>白石:</b> 「アクセシビリティが当たり前の社会」、素晴らしいビジョンですね。HTML5 Experts.jpとしても、お手伝いできることは何でもさせてください！本日は、長時間に渡るインタビュー、どうもありがとうございました。</p>

<p><DIV align=right>（インタビュー・執筆：白石俊平／撮影：馬場美由紀）</div></p>
]]></content:encoded>
		
		<series:name><![CDATA[Experts Opinions 「UX」]]></series:name>
	</item>
		<item>
		<title>いま、UXを語るのはなぜ悩ましいのか？─長谷川恭久ロングインタビュー</title>
		<link>/shumpei-shiraishi/11315/</link>
		<pubDate>Wed, 19 Nov 2014 00:00:21 +0000</pubDate>
		<dc:creator><![CDATA[白石 俊平]]></dc:creator>
				<category><![CDATA[デザイン]]></category>
		<category><![CDATA[サイト制作]]></category>
		<category><![CDATA[UX]]></category>
		<category><![CDATA[サービスデザイン]]></category>
		<category><![CDATA[フロントエンド]]></category>
		<category><![CDATA[ワークフロー]]></category>

		<guid isPermaLink="false">/?p=11315</guid>
		<description><![CDATA[連載： Experts Opinions 「UX」 (1) UXという言葉は、専門家ではない筆者のような人間からすると、少し「怖い」言葉です。 筆者にとってUXという言葉は、概念はわかる気がするものの捉えどころがなく、絶...]]></description>
				<content:encoded><![CDATA[<div class="seriesmeta">連載： <a href="https://html5experts.jp/series/opinions-ux/" class="series-223" title="Experts Opinions 「UX」" data-wpel-link="internal">Experts Opinions 「UX」</a> (1)</div><p><style>
p.footnote {
  font-size: small;
  font-family: monospace;
}
</style>
UXという言葉は、専門家ではない筆者のような人間からすると、少し「怖い」言葉です。<br>
筆者にとってUXという言葉は、概念はわかる気がするものの捉えどころがなく、絶えず論争の的になっている…そんな言葉に思えていました。</p>

<p>とはいえやはり、いまの時代Webに携わるものとして、UXに対する興味は尽きません。そこでHTML5 Experts.jpでUXを取り上げてみたいと思ったのですが、「炎上」は怖い…。</p>

<p>そもそも、なんでこんなにUXは論争が尽きないのか。「UXに関心はあるし、仕事として関連もあるのだけれど、どこから学べばいいのかよくわからない」筆者のような人間に、何を伝えることができるか。特集を行うにあたり、エキスパート No.37の<a href="https://html5experts.jp/yhassy/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer">長谷川恭久さん</a>に相談させていただくことにしました。</p>

<p>結果、UXという言葉を取り巻く状況から、現在のWeb業界におけるナヤマシイ点にまで言及していただき、とても読み応えのあるインタビューになりました。少し長い記事ですが、どうかお楽しみください！</p>

<p><img src="/wp-content/uploads/2014/11/ux2.jpg" alt="" width="600" height="355" class="alignnone size-full wp-image-11368" srcset="/wp-content/uploads/2014/11/ux2.jpg 600w, /wp-content/uploads/2014/11/ux2-300x177.jpg 300w, /wp-content/uploads/2014/11/ux2-207x122.jpg 207w" sizes="(max-width: 600px) 100vw, 600px" /><br><span style="font-size: 80%;">▲左から、インタビュアー白石俊平編集長、HTML5 Experts.jpエキスパート長谷川恭久さん、</span></p>

<h2>UXを語るのは悩ましい？</h2>

<p><br>
<b>白石:</b> こんにちは。この度はUXをテーマとして特集を作るにあたり、いろいろご相談に乗っていただき、どうもありがとうございます。事前にメールでも相談させてもらいましたが、いま「UX」というテーマで特集を作っていくのは、なかなか悩ましいとか。</p>

<p><img src="/wp-content/uploads/2014/11/ux5.jpg" alt="" width="600" height="400" class="alignnone size-full wp-image-11374" srcset="/wp-content/uploads/2014/11/ux5.jpg 600w, /wp-content/uploads/2014/11/ux5-300x200.jpg 300w, /wp-content/uploads/2014/11/ux5-207x138.jpg 207w" sizes="(max-width: 600px) 100vw, 600px" /></p>

<p><br>
<b>長谷川:</b> はい、悩ましいですね。いろんな意味で。
<br><br>
<b>白石:</b> 私のように専門外の人間からすると、UXという話題に触れるのは、世間からの批判と隣合わせだという感覚がありますし、私の周りにもそう感じる人間は多いようです。一体なぜ？という思いがありますが、心当たりとかございますか？
<br><br>
<b>長谷川:</b> そうですね…まずは白石さんが抱いているUXのイメージを伺ってみましょうか。こんな質問をしてみましょう。UXの何が「わからない」ですか？
<br><br>
<b>白石:</b> わからないこと、ですか。……うーん……（長考）。
<br><br>
<b>長谷川:</b> 「何がわからないのかわからない」でも、構わないですよ(笑)。
<br><br>
<b>白石:</b> …正直なことを言っちゃっていいですか？もしかすると、いろんな方面から怒られちゃいそうな回答なんですが。
<br><br>
<b>長谷川:</b> どうぞどうぞ。
<br><br>
<b>白石:</b> UXって、何がそんなに難しいのか、わからないんです。
<br><br>
<b>長谷川:</b> ああ、なるほど。
<br><br>
<b>白石:</b> UXについて書かれたものを読むと、「これって『ユーザの立場に立って考えましょう』の一言で終わっちゃうんじゃないかなー」なんて考えてしまうことがよくあって。もちろん、他者の立場に立つというのはそもそもすごく難しいことだし、どんなものでも突き詰めようとすると果てしなく奥行きがあるものですので、ぼくはその入口で止まっちゃってるんだろうなという自覚もあるんですが。
<br><br>
<b>長谷川:</b> それは、ある意味正しい見解だと思います。デザイナーの中にも、「UXって普通のことだよね、なんでそんなに大げさな話をしているの？」と思っている方もいますし。
<br><br>
<b>白石:</b> おお、本職の方でも、そういう感覚を持っている方はいらっしゃるのですね。少し安心しました。
<br><br>
<b>長谷川:</b> UXの議論の中には、手法の話が先行したり、ほんの一部分が注目されるという場合がありますね。その手法を知っているかどうかとか、その手法を正しく実践しているかどうかを重視する人もいます。本来正解は一つではなく、目的にたどり着く方法はいくつもあるはずです。</p>

<p><img src="/wp-content/uploads/2014/11/ux31.jpg" alt="" width="600" height="386" class="alignnone size-full wp-image-11373" srcset="/wp-content/uploads/2014/11/ux31.jpg 600w, /wp-content/uploads/2014/11/ux31-300x193.jpg 300w, /wp-content/uploads/2014/11/ux31-207x133.jpg 207w" sizes="(max-width: 600px) 100vw, 600px" /></p>

<p><br>
なのに、特定の手法を実践することが目的になってしまって、「こうすべきだ」「こうしなきゃいけない」という思いが強くなりすぎることもあります。「UXはこうでなければいけない」という柔軟性を欠いた姿勢が、逆に混乱を招いていることもあると思います。
<br><br>
<b>白石:</b> なるほど。そういう状況を、ぼくみたいな専門外の人間が外から見た時に、何が目的で何が手段とみなされているのか、見分けがつかずに混沌として見えてしまうのかもしれません。
<br><br>
<b>長谷川:</b> そういう状況を引き起こしている原因は、二つあるのではと思います。一つは、UXを語るための前提が共有されていないこと。そしてもうひとつは、いま話に上がったように、手法の話が先行してしまうと実践が表層的になりがちなことです。
<br><br>
<b>白石:</b> お、面白そうな話ですね。ひとつずつ教えてもらえますか？</p>

<h2>UXを語るための前提を共有しよう</h2>

<p><br>
<b>長谷川:</b> まず、UXを語るための前提が共有されていないという点について話してみましょうか。<br>
UXという言葉は本来ものすごく幅広い概念なので、いろんなシチュエーションで使われます。そのため、同じUXという言葉を使っていても、人によって全く違う意味を思い浮かべていたりするのです。
<br><br>
例えば白石さんは、UXというと何を思い浮かべますか？
<br><br>
<b>白石:</b> そうですね…。ぼくはいま、スタートアップに関心があるので、サービスやアプリがユーザにトータルで与える体験だったり、それがビジネスにどう繋がるか？といったところでしょうか。
<br><br>
<b>長谷川:</b> そう、それもUXという範疇に入る話です。UXについて語る場合、「どこのポイントのUXを話しているのか」という認識を共有しなくてはならないと思うんです。例えば、こんな図を書いてみましょう。</p>

<p><img src="/wp-content/uploads/2014/11/ux6.jpg" alt="" width="600" height="383" class="alignnone size-full wp-image-11375" srcset="/wp-content/uploads/2014/11/ux6.jpg 600w, /wp-content/uploads/2014/11/ux6-300x191.jpg 300w, /wp-content/uploads/2014/11/ux6-207x132.jpg 207w" sizes="(max-width: 600px) 100vw, 600px" /></p>

<p><br>
まず、ユーザがいますね。そして、ユーザとのインタラクションが発生するポイントとしてデバイスがあります。次に、データベースなども含めたシステム全体があります。そして、これらを包括する存在として、サービスやコンテンツを提供している企業があります。
また、ユーザは「心」を持っている。このユーザは日本という国に住んでいて、更に言うと、このユーザは地球という星に住んでいる。
<br><br>
さて、この図の中で、UXに関わりのある部分はどこまででしょう？
<br><br>
<b>白石:</b> んーと……
<br><br>
<b>長谷川:</b> <strong>全部です。</strong>いま挙げたすべてが、UXに関わる事柄なんです。もちろん、専門としている範囲を決めている人もいますし、小さなところから考えていかないと実装すら難しいこともあるので、すべて理解していなければ実践しているとは言えないとは思いませんが…。
<br><br>
ユーザが日本という社会に住んでいるということについて、地球に住んでいるということについて、デバイスを通じてインタラクションを行うということについて、システムのアーキテクチャについて、企業やビジネスについて、すべてUXに関わる事柄として語ることができます。だからこそ、どのポイントからUXを語るかによって、語るべき事柄がずいぶん変わってくるのです。
<br><br>
<b>白石:</b> 広いなあ。
<br><br>
<b>長谷川:</b> そうなんです、広いんです。例えば、「UI/UX」みたいな言葉があるじゃないですか。これは主にインターフェイスデザインから生まれる体験を語るときに使われます。それに対し、サービスやユーザ心理の観点から「UX」という言葉を使っている人もいるわけで、そういう方にとって「UI/UX」という表現が気持ち悪くみえることがあります。UX は UI をはじめ様々な要素を包括すると考えると、同列に言葉を置くことに違和感を感じることがあると思いますが、国内外問わず求職サイトを見ると「UI/UX」のような表現は広く使われていますね。
<br><br>
<b>白石:</b> なるほど、UXのカバーする概念が広すぎて、人によって「UX」という言葉が指している意味が違ってるんですね。
<br><br>
<b>長谷川:</b> はい。そして、人によってUXという言葉の捉え方が異なるだけでなく、そこで語るべき内容も全く変わってきます。
<br><br>
UI/UXという言葉が使われている際、フロントエンド、ビジュアル、インタラクション、システムパフォーマンスといった実装側の話が中心になりがちです。ビジネスやサービスの文脈でUXを語る場合は、Web解析やA/Bテスト、マーケティングだけでなく、企業の組織論にまで話が及ぶことも珍しくありません。 さらには、心理学や社会学、行動経済学<sup><a href="#fn1" id="r1" data-wpel-link="internal">[1]</a></sup>なども見据えてUXが語られることもあります。</p>

<p id="fn1" class="footnote"><a href="#r1" data-wpel-link="internal">[1]</a><dfn>行動経済学</dfn>…<q cite="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A1%8C%E5%8B%95%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6">典型的な経済学のように経済人を前提とするのではなく、実際の人間による実験やその観察を重視し、人間がどのように選択・行動し、その結果どうなるかを究明することを目的とした経済学の一分野。</q>（<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A1%8C%E5%8B%95%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6" target="_blank" data-wpel-link="external" rel="follow external noopener noreferrer">Wikipediaより引用</a>)</p>

<p><img src="/wp-content/uploads/2014/11/ux9.jpg" alt="" width="600" height="419" class="alignnone size-full wp-image-11378" srcset="/wp-content/uploads/2014/11/ux9.jpg 600w, /wp-content/uploads/2014/11/ux9-300x209.jpg 300w, /wp-content/uploads/2014/11/ux9-207x144.jpg 207w" sizes="(max-width: 600px) 100vw, 600px" />
<br><br>
<b>白石:</b> なるほど…。改めて整理していただくと、いかに広い概念を「UX」と呼んでいたのか、ちょっとびっくりしちゃうほどですね。
<br><br>
<b>長谷川:</b> そうなんです。「UX」という概念がこれほど広くて、ポイントが違えば語るべきことも違ってくるという前提が共有されていないまま、それぞれがUXを語るわけですから混乱もしますし、「それは違う」みたいな声も聞こえてくるのかもしれません。</p>

<h2>いまのWeb業界はUXを語るのが難しい？</h2>

<p><br>
<b>白石:</b> UXを語ることが難しいもう一つの理由として挙げられていた、手法の話が先行してしまうことによって実践が表層的になるとはどういうことでしょう？
<br><br>
<b>長谷川:</b> これはですね、日本には「Web制作会社」という業態がWebサイト制作の中心になっているという事情がありますが、そうした制作会社が、制作／実装にしか携わることができないということがUXを難しくしまうことがあると感じています。
<br><br>
<b>白石:</b> と、いうと？
<br><br>
<b>長谷川:</b> 制作会社とクライアントの距離があると、そのギャップを埋めるための作業が発生するだけでなく動きが遅くなることがあります。 前述のとおり、UX自体は非常に幅広い概念ですが、制作部分しか携われない会社が影響を及ぼせるUXの範囲は限られています。UIというより装飾だけ、ということも珍しくありません。
<br><br>
<b>白石:</b> ビジネスの主体であるクライアントと、モノづくりを担当する企業が分かれてしまっていることで、UXをトータルで考えることがそもそも難しいというわけですね。
<br><br>
<b>長谷川:</b> ここで問題になるのは、ビジネスの主体と作り手の間の「距離感」です。図にするとこんな感じでしょうか。</p>

<p><img src="/wp-content/uploads/2014/11/comm_artifact2.jpg" alt="" width="529" height="525" class="alignnone size-full wp-image-11440" srcset="/wp-content/uploads/2014/11/comm_artifact2.jpg 529w, /wp-content/uploads/2014/11/comm_artifact2-150x150.jpg 150w, /wp-content/uploads/2014/11/comm_artifact2-300x297.jpg 300w, /wp-content/uploads/2014/11/comm_artifact2-207x205.jpg 207w" sizes="(max-width: 529px) 100vw, 529px" /><br><span style="font-size: 80%;">▲縦軸は（本質的でない）要素成果物の量と質、横軸はクライアントとの距離感。クライアントと制作者の距離感が近づけば近づくほど、余計な要素成果物が不要となり、結果的に全体のUXをデザインしやすい</span>
<br><br>
距離が遠ければ遠いほど、ワイヤーフレームやデザインカンプなど、多くの「要素成果物」が求められるようになります。逆に距離が近ければ近いほど、そういったものは不要になります。例えば、同じ会社内であれば、「ナプキンに書いたメモ」でも十分に意図が伝わるわけです。
<br>
で、そうした要素成果物を作るための作業は、多くの場合「UXを改善する」という本質的な作業とは関係ありません。コミュニケーションのために必要とされるものです。そうした高コストのコミュニケーションが必要とされる関係が、制作サイドからのUXへの影響力を弱めてしまうのです。
<br>
制作部隊を自社で抱えているような企業の場合、ひとつの小さなプロジェクトでUXを大きく改善するといったことも可能です。 一方、発注・受注の関係で、クライアントに全く頭が上がらない、連絡しても数日先…というような、「距離の離れた」関係だと、根本的な課題を解決するためのデザインが難しくなります。
<br><br>
<b>白石:</b> なるほど…。では、トータルでUXを考えるためには、インハウスの制作部隊を抱えるか、制作会社もコミュニケーション力を磨いて、提案力を高めていく必要がある…という話になるんでしょうか。
<br><br>
<b>長谷川:</b> はい、仕事の仕方を変えていく必要があると思っていますし、クライアント関係を変えていく動きは国内でもあります。制作会社がUXの中でUIの部分しかタッチできない状況であるならば、表層的な部分に偏るのは当然です。たとえ UIデザインだけ関わるとしても、サービス全体や、利用者のことを理解し、クライアントも含めたチームで共有できるようにならなければ、UXを語るという段階ではないかもしれません。</p>

<p><img src="/wp-content/uploads/2014/11/ux10.jpg" alt="ux10" width="640" height="427" class="alignnone size-full wp-image-11379" srcset="/wp-content/uploads/2014/11/ux10.jpg 640w, /wp-content/uploads/2014/11/ux10-300x200.jpg 300w, /wp-content/uploads/2014/11/ux10-207x138.jpg 207w" sizes="(max-width: 640px) 100vw, 640px" />
<br><br>
せっかくデザインの価値が注目されているのに「UXを実装します」みたいな商材項目のような存在になるのは残念ですよね。
<br><br>
<b>白石:</b> しかしまさか、UXについて伺うつもりのインタビューが、Web業界全体への問題提起になるとは、正直思ってませんでした。
<br><br>
<b>長谷川:</b> はい、こういう話は避けられてきたところはあると思います。しかしそこを考えてこそ、UXの話もさらに深まると思うんです。
<br><br>
例えばマークアップをはじめとしたフロントエンドを例に取って話をしてみましょう。いまはフロントエンド関連の技術や手法はすごく面白いと思います。でも、ワークフローは、相変わらずデザインの後に位置付けられていることがあります。これはおかしい。 決まったデザインを『印刷』して納品するというかたちではフロントエンド技術の真の力が発揮できなくてもったいないと思うことがあります。
<br><br>
こういった根本の部分を変えていかないと、フロントエンドにもUXにも未来を感じないんです。ぼくが最近<a href="http://www.yasuhisa.com/could/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer">自分のブログ</a>でコンテンツやワークフローの話を中心にしているのも、そこが終わってないのに、形を作る話をしても仕方ない、との想いからなんです。
<br><br>
<b>白石:</b> なるほど。たしかに、ワークフローや仕事関係は改善していかないといけないですね。
<br><br>
<b>長谷川:</b> フロントエンドの技術は飛躍的によくなったのに、デザインプロセスに入れないことがあることにフラストレーションを感じることがあります。
<br><br>
ぼくは2009年頃、<a href="http://www.yasuhisa.com/could/article/tech-art-director/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="follow external noopener noreferrer">デザイナーはみな「テクニカルディレクター」のようになっていくのかな、と思っていました</a>。技術からサービスづくりやデザインをディレクションしていくような。残念ながらそういう立場にいまいるという人はまだ多くはありません。
<br><br>
技術やツールはどんどん進化して、みんなそれを一生懸命勉強して、技術力はどんどん向上しているのに、デザインプロセスに参加できていないことがある。フロントエンドのポテンシャルが活きる場所というのは、末端じゃないと思うんです。
<br><br>
<b>白石:</b> フロントエンドのポテンシャルを最大限発揮するためにも、業界を変えていく必要があるということですね。
<br><br>
<b>長谷川:</b> 業界とまでいかなくても、自分たちの周りを少しずつ変えていくように働きかけていきたいですね。幸い他分野でも、「もっと早く」「もっと密に」、というニーズが高まっています。国内外で「サービスデザイン<sup><a href="#fn2" id="r2" data-wpel-link="internal">[2]</a></sup>」や「UXストラテジー<sup><a href="#fn3" id="r3" data-wpel-link="internal">[3]</a></sup>」という言葉が出てきているのは、構造から考えていかないと包括的な意味での UXの実現は難しいからではないでしょうか。</p>

<p><img src="/wp-content/uploads/2014/11/ux11.jpg" alt="ux11" width="600" height="392" class="alignnone size-full wp-image-11380" srcset="/wp-content/uploads/2014/11/ux11.jpg 600w, /wp-content/uploads/2014/11/ux11-300x196.jpg 300w, /wp-content/uploads/2014/11/ux11-207x135.jpg 207w" sizes="(max-width: 600px) 100vw, 600px" />
<br><br>
そしてそういう変化を起こしていくためにも、制作者にはもっと「攻撃的」になってもらいたいですね。「ハイ作ります」ではなく、デザインの専門家という立場から対等に提案していく、そんなコミュニケーションを行っていける人が求められているんだと思います。</p>

<p id="fn2" class="footnote"><a href="#r2" data-wpel-link="internal">[2]</a><dfn>サービスデザイン</dfn>…<q cite="http://www.dnp.co.jp/cio/servicedesignlab/serviceDesign.html">サービス利用者（生活者）が感じる体験価値を重視して、個々のタッチポイントのデザインにとどまらず、事業としてサービス全体をデザインする行為</q>（<a href="http://www.dnp.co.jp/cio/servicedesignlab/serviceDesign.html" target="_blank" data-wpel-link="external" rel="follow external noopener noreferrer">http://www.dnp.co.jp/cio/servicedesignlab/serviceDesign.html より引用)</a></p>

<p id="fn3" class="footnote"><a href="#r3" data-wpel-link="internal">[3]</a><dfn>UXストラテジー</dfn>については、<a href="http://ja.scribd.com/doc/134009419/UX-Strategy-Whitepaper-UX%E6%88%A6%E7%95%A5%E7%99%BD%E6%9B%B8-%E9%96%93%E9%81%95%E3%81%A3%E3%81%9F-%E4%BD%BF%E3%81%88%E3%82%8B%E3%82%82%E3%81%AE%E3%82%92%E5%A2%97%E3%82%84%E3%81%95%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AB" target="_blank" data-wpel-link="external" rel="follow external noopener noreferrer">「UX戦略白書」</a>が参考になりました（編集部）</p>

<p><br>
<b>白石:</b> 本日は、「UX」というテーマから今後の問題提起まで、深くて広い話題をありがとうございました。本当に楽しかったです。</p>

<p><DIV align=right>（インタビュー・執筆：白石俊平／撮影：馬場美由紀）</div></p>
]]></content:encoded>
		
		<series:name><![CDATA[Experts Opinions 「UX」]]></series:name>
	</item>
	</channel>
</rss>
